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はい、今回は「体を柔らかくする方法シリーズ」スピンオフ(笑)、心を柔らかくする方法です。
体が固くてお困りの方、体の部分的な柔らかくする方法は各記事をご参考ください。
体が固い、体を柔らかくしたい人、もう少し楽に生きたい、緊張しがちですぐ上がってしまうような人は、少し自分の心を見つめて、何が心と体を柔らかくするのを邪魔しているのか、心の緊張は何か探ってみましょう。
昔の言葉で言えば心と体って心身一如、心と体は一つの如く。今風の言葉で言えば心身相関、心も体もお互いに関係性の間柄にある。
だから、心が柔らかくならないと体も柔らかくならないのです。その反対に体が柔らかくなってくると心も柔らかくなってくる、不思議な関係なのですね。
そんな心と体の関係は気によって成り立っています。今回は少し心のお話や気のお話も交えて、心を柔らかくする方法をご紹介したいと思います。
まぁ、整体院なんてキャッチーな屋号を使っているのですけど、気と経絡の治療の効果は症状を改善する以上にもっと深いもの。
私がライフワークとして行っている「気と経絡の治療」も「冷えとりの普及」もセミナーなどで治療法や心のコトを教えているのも、実は皆さんの心が柔らかくなって、生命本来の自由性を取り戻して豊かな人生を実現してほしいから。
でもこれ、そうそう簡単にはコトが運ばないんですね。自意識・エゴというものはいつも必死で自分の身を守ろうと、自分が傷つかないように緊張しています。心を柔らかくするのを邪魔しているのは、他ならぬ自分自身なんですね。
だからこそ、その人本人の「自分自身のエゴを見る」、内観というものが心と体を柔らかくするためには、とても大事なのです。
今回は、心を柔らかくする具体的な方法と一緒に、心と気の世界を少しご紹介したいと思います。
体と心を邪魔しているもの・エゴ
エゴ・自意識、これは人間が成長していくうえで幼い段階では欠かせないものです。これがあるから自分の身を守れるし、アイデンティティー・自己同一性(以下、自己同一性で統一します)というものが保たれます。
若いときってそうですよね、必死で自己統一性を築こうと努力する。
「自分はこうなんだって」そういう幻想を築き上げるんですね。幻想でもそれが無かったら自己統一性を保てませんからね。あれも自分、これも自分ではビリー・ミリガン・多重人格になってしまいます。
そして自意識・エゴは必死に自分を守ろうとします。自分の自己統一性が崩れないように必死で守るんですね、時には自分を守るために他者や世界に対して攻撃的になったりもします。
心の中には、自分を守るための働きがある。悲しいですが私たちは幻想でも何でもいいから仮面をつけて生きなければならない。
心理学者のユングは、この仮面のことをペルソナと名づけました。
ペルソナ:
ユングは心の中に、様々な心の働きを発見しました。
ユングの元型論として有名ですが、ペルソナとは外界、社会に対して適応した態度やふるまい。その場その場で被る仮面。これは外界に対する適応で、そればかりになると、心の奥の部分が悲鳴を上げだす。あまりにも本心を抑制して仮面ばかりのふるまいでは、いつか爆発してしまいますもんね、そりゃ体も固くなる。
今の時代背景とは違いますが、当時のヨーロッパは性的な抑制が強かった時代です。そのため、ヒステリーなどの症状がとても多かったようですね。ヒステリーの果てに失神する…、まぁ、わかりやすい時代だったのかもしれません。
現代はもう少しややこしい…。気でいえば虚(気の不足)が深くなった時代、モノ的には豊かになったけどみんなどこかで満ち足りていない。
ほかにユングは心の元型として、
- 自分自身の陰の部分・シャドー
- 自分自身の反対性の部分・アニマ、アニムス
- 母なる部分・グレートマザー
- 自分自身の核の部分・セルフ
などを挙げています。ほかにも多々、元型というものはありますが、ユングは人間の成長とは、これらの元型の部分を統一していくことだといいました。
思春期には母性(グレートマザー)から離れ、おじいちゃんの知恵(老賢人・グレートワイズマン)を借り、女性・男性(アニマ・アニムス)に恋して成長させ、たまにはドタバタ劇を繰り広げ(トリックスター)、自分の影の部分(シャドー)、自分の嫌な部分、本当は見たくもない自分との戦いの末、本当の人間(セルフ)として完成する。
そんな人生の物語は時代を問わず、全人類に共通しています。世界中の神話や伝説、おとぎ話、昔話、ハリウッド映画はこれらが含まれているから私たちの心に響くんですね。
(元型論自体、ユングが世界中の神話などに共通のストーリーがあるのを発見して、それを研究したからです。また映画など脚本にはこれらができるだけ含まれていたほうがヒットする)
エゴ・自意識も本当の自分ではありません、でも必要なものです。これがあるから自分や家族、国を守り成長できるというものですけど、自分自身の核の部分・セルフではない。
まぁ、でも娑婆(シャバ・現世)で生きていくのって大変ですよね、常に緊張していなければヤラレてしまう…、世界には弱肉強食の一面があります。
メディアも不安を煽るし、今の消費社会では心も体もある程度の緊張状態でないとついていけない風潮です。
そんな状態では、なかなか体も心も柔らかくして生きられませんよね。
エゴを越える
現代では、ほとんどの人がエゴ・自意識を優先させて生きています。エゴ丸出し…、あなたの周りにも居ますよね(自分がそうだったり)。
でも心が成長してくると、心は次の段階に入ります。エゴを越える時がやってくるんですね。
子供の時、体が成長して古い服が窮屈になったように、心が成長してくるとエゴというものが窮屈になってくる。
エゴを越える、エゴを脱ぎ捨てるといってもいいですね、古い服を脱ぎ捨てるように。
人間の正常な成長の過程として、これは必要なステップです。できれば生きているうちにやっておきたいですよね。
師匠の選び方
実はこれ、師匠の選び方でもあるんですね。
よくわからない新興宗教やカルト(既成の宗教も)に巻き込まれないためにも、いくらその人がいいことを言っていても、エゴから言っているのか、本心から他者の心の成長を願って言っているのか、師匠選び、教祖様選び(笑)の判断材料になります。
エゴ丸出しの宗教や教祖様にハマる人は後を絶ちませんが、みんなそれほど間違ったことは言っていないと思います(だからハマるんですけど)、口では結構いいことを言っている、利他とか愛とかそんなことを。
でも相手を利用しようとして、お金儲けの道具として、エゴを満足させるために言っていたら本物ではありません。
反対に、エゴを越えて、自分という勘定無しにいいこと(曖昧)を言っていたらその人は本物のハズ、十分お布施をはずみましょう(笑)。
自意識・エゴが流されるとき
で、この成長の段階、エゴを越えるって怖いんですね。自分がなくなる死の恐怖です。
今まで自分だと思ってきたものがなくなるんですから、自分がなくなってしまうような恐怖があります。
だからある程度の自我の強さがないと、これには立ち向かえません。このエゴを乗り越えるということを他者に頼れば、人を利用とする教祖様のいいなりです。
独りで立ち向かわなければならない試練なんですね、エゴを脱ぎ捨てる過程って。
で本当のことを言うと、エゴってなくならないんですね、もしかしたら死んでも無くならない。
エゴが流される、そんな言い方しか伝えられないのですけど。
宗教的に言えば、神・仏の光によりエゴが流される時…、そういう瞬間ですね、次の成長のスタートは。
触光柔軟(しょっこうにゅうなん)
これ私の仏教の師匠から聞いた話ですけど、「仏典には仏の光にまみえたとき、身も心も柔らかくなる、と書いてある、私もそうだった。」と言っていました。
体の緊張、心の緊張が完全に抜けたとき、視力が上がるというのも聞いたことがあります(目の悪さって神経や筋肉の緊張ですから、この緊張が完全になくなったらあり得る話です)。
心がエゴから自由になったとき、体って柔らかくなるんですね。これは理解できると思います。
神経の緊張で体は固くなっていますから、いくらストレッチなど頑張っても体の芯からリラックスできる、緊張が完全に無くなるということはありえないんですね。
気と経絡
なんとなくエゴと体の緊張については理解していただけたと思います。
次は気のお話しですが、気は感じるもの。お話だけではなく少し自分の気を感じるということを試してみましょう。
経絡(けいらく)
経絡とは気の流れ道。メジャーなのが14本あります。そしてそれぞれ内臓の働きも統制しています。腎経とか肺経とかね。
そして経絡には感情も振り分けられています。腎経は恐れや恐怖の感情、肺経は悲しみの感情とか。
恐怖が続けば腎経の気が消耗され、悲しみが続けば肺経の気が消耗する。
感情と内臓、気と経絡が東洋医学では一緒なんですね。そもそも東洋医学は心と体を分けて考えていません。心身相関は当たり前のことだからあえて言わないんですね。
恐れによりストレス状態が続けば、ストレスに対抗するホルモンを出している副腎などに負担がかかりますし、怒ると肝臓に悪いのは何となく理解できる。悲しみの末に肺の病にかかるのは古典文学でもよく描かれています。この感情と体の関係って意外と当たっているんですね。
で、個性により14本の経絡のどこかが固くなっていたり、反対に力なく弱く柔らかくなっていたりします。
これを経絡の虚実といいます。虚が不足で実が過剰ね。
腎虚胆実とは、腎経の気が不足気味で胆経の気が過剰という状態です。全身の腎経が弱まり力ない状態(腎経は自分を支えるという経絡です)、反対に首筋や腰の胆経(胆実は首コリや肩こりからくる頭痛や腰痛を引き起こします)が固く凝っている状態です。
東洋医学ではこの気の状態を診断して、経絡の虚実を診て治療していきます。
14経絡:
経絡(けいらく)とは気の流れ道、メインが14本あり、走行する場所で言えば、
- 肺・大腸経を柔らかくするストレッチ
- 胃経・脾経=からだの前面、筋肉
- 腎経・膀胱系=からだの中心
- 肝経・胆経=からだの側面、太い腱
- 心包経・三焦経=からだの角ばっているところ
- 心経・小腸経=手足の内部
- 任脈・督脈=からだの前後の正中
このストレッチ・ツボガイドでご紹介しているストレッチは、実はこの経絡をストレッチできる方法です。経絡は体中を走行していますので、筋肉や関節だけのストレッチより、全身的にストレッチできる形の方が効果的です。
経絡ストレッチ・まとめに基本の7つのストレッチとしてまとめてあります。また各経絡の説明の記事に、経絡の働きや関連する症状、ストレッチ法を載せていますので、ご興味のある方はご参考ください。
気の流れを邪魔しているもの
で、経絡の虚実を引き起こしているものは、冷えや食べ過ぎ、怒りすぎ、ビビりすぎ、ストレスなど多々ありますが、その真の原因はエゴ、エゴへの執着なんですね。
執着があるから食べ過ぎたり、怒ったり、etc…。
満ち足りていないから行動がある。人間の行動は主に、足りないから行動するんですね。お腹が減ったから食べるという行動がある。
お分かりのように、実という行動の源は虚という不足なんですね、だから治療も虚に対する治療が正解です。
体が固くなっている原因は、どこかが虚の状態だからです。虚という状態があるから、どこがが張っている。
心が固くなっている原因は、どこか満たされていないからです。身の安全とか、愛されていないとか、理解されていないという虚があるんですね。
邪気というのは気が滞っていることです。別に邪悪な気があるわけではありません。みなさんエゴへの執着があるから気が滞っているんですね。
気を感じてみる
少しここで気を感じてみてください。
何も難しいことではありませんが、普段から論理的なことばかり考えている男性は苦手かもしれません。その反対に普段から全身で感じることが得意、感情的な女性は感じやすいかもしれません。
感じてもらうのは、幸せを感じている時の体の感覚です。
何でもいいです、自分が幸せに感じていることを想像するとか、大好きな人をイメージするとか、自分が愛されていることを実感するとか、とにかく幸せな心境になってください。イメージで構いません(気はイメージに従うからです)。
幸せな心境をイメージできたら、その幸せな時の体の感覚を感じてみてください。
体って柔らかくなっていませんか?肩の緊張が抜けリラックスしていませんか?
気に敏感な人なら、自分の境界が薄れてどこまでも広がっていくような感じ。
ん、感じられない…?
言い方がちょっと曖昧でしたかね。では、具体的にやりましょうか。
恋愛の感覚
誰でも恋したことはあるハズ。ここでは結婚とかそういうこの世の習い的なことではなく、契約的な恋愛でもなく、真の愛です。
異性でも同性でもペットでも家族でも子供でもいいので、他者を愛するという気持ち、もしくは愛されているという気持ち。
そのような気持ちの時の体の感覚って、特別なものだと思いませんか?
自分がどこまでも拡大していくような感じ、相手と自分が融合しているような感覚、要するに心が通じ合っている感覚です。
そのような感情を抱くとき時、明らかに普段とは違う体の感覚があるハズ。
ん、感じたことが無い…?
そりゃ残念ですね、人生損している(笑)。
そのような人は恋しましょうね、何でもいいから、自分が消えてしまうほどの熱い思いを抱けるものを探しましょう。
で、幸せの体の感覚です。ただ私は「感情は体の感覚を伴う」ということを伝えたいだけです。
幸せとは反対に緊張を感じているとき、恐れを感じているとき、呼吸は浅く、体も固く、自分が小さくなったような体の感覚を感じますよね。これ実際は気の体が縮小しているのですが、このようなストレス状態の時に感じる体の感覚もあります。
普段から、自分の感情や感覚を内観していると目まぐるしい変化があります、決して同じ状態には留まっていない。
これ「体や心を柔らかくしたいなら幸せを感じなさい」ということですけどね、エゴってそこまで能天気でいられないんですね、常に緊張して自分を守ろうとしている。
特に恋愛時には顕著です。自分と相手、自分と世界が融合している感覚、ぴったりくる感覚です。心が柔らかい時、そういう時は体も柔らかいんですね。
気でいえば邪気のない状態、まさに無邪気な状態、天真爛漫な状態。私の好きな言葉に「天衣無縫・てんいむほう」がありますが、これもいい言葉ですね。
幸せを感じていても恋をしていても、邪気のある状態、姑息な考えのある状態もあります。自分に都合のいいようにするエゴの働き。相手を支配するエゴの働き、そのような時は自分が汚れているような感覚がある。だから気に敏感になってくると悪いことができないんです(笑)。
心を柔らかくする方法・実践編
では、やっと体を柔らかくする方法・実践編です。心の緊張を取り、身も心も柔らかくするにはどうしたらいいか具体的な方法をご紹介したいと思います。
ファーストステップ・まずは自分の緊張に気づくコト
体も心も緊張を取るコツ、それはまず自分が緊張していることに気づくコト。
これとても大切です。緊張だけではありません、人生において次のスッテップに行きたかったら、今の自分に気づくコト。
自分の心を見る、これを内観(ないかん)といいます。
で、自分の心の何を見るのか?
分かりますかね?
実は自分のいいところではなく、至らないところを見るのです。
至らないところがあるから、それを戒めることができるし、改善することができる。
自分のいいところ、できるところばかり見ていると進歩はありません。
先ほどのエゴについてもそうです。エゴを乗り越えるファーストステップは、エゴを持っていることに気づくコト。
エゴってナイフのようなものです。持っていることを知らなかったら、むやみやたらに周りを傷つけてしまう。
エゴを持っているコトを自覚できるから、エゴを戒めることができるんですね。
体と心の緊張をとるファーストステップは、普段から自分の心と体を観察して体の緊張、心の緊張に気づくコト。
体と心を柔らかくする呼吸法
体と心が緊張している時は呼吸が浅い…。反対に体と心が柔らかいときは自然と深い呼吸になっています。
このブログでもストレッチを安全に効果的に行えるように、腹式呼吸をご紹介しています。
腹式呼吸だけでも自律神経の乱れを整え、心が落ち着く効果があり、これを活用しない手はありません。
ヨガや様々な修行法でも呼吸法は基本となる行法です。様々な呼吸法のバリエーションがありますが、基本は腹式呼吸です。
腹式呼吸のやり方:
ストレッチのポーズをとり腹式呼吸をすると、息を吐くたびに体が緩まり、息を吸うたびに筋肉やスジがよりストレッチされるのを感じることができます。腹式呼吸が苦手な人、初めての人は、体を柔らかくする腹式呼吸をご参考ください。
体と心の緊張に気づいたら、腹式呼吸を行えばよいのです。ほんと別に焦ることなんてないのにね、私たちはいつも焦っている…。
そんな焦っている自分に気が付いたら、腹式呼吸でまったりリラックスしましょう。
体と心を柔らかくする冷えとり
はい、恵比寿整体院でもこのブログでもさんざんご紹介している「冷えとり」です。
冷えをとり血液の流れを良くしていくことは、体にとって最高の健康法です、美容にもいいしね。
体にとっての効果はもちろんですが、足が冷え頭がのぼせてる状態というのは、脳が充血してテンパっている状態です。
頭がのぼせて自分のことしか考えられないんですね、先ほどのエゴと冷えとりって実は関係があるんです。
冷えがとれ頭ののぼせが取れて気が落ちてくると、頭も冷静になり落ち着いてきます。
のぼせ、知恵熱、頭の使いすぎ、癇癪、短気…、これらは足が冷えた分、頭が熱い状態です。だからこそ足を温めて冷えを取ってほしいんですね。
冷えとりについてもっと知りたい方は、冷えとりカテゴリーをご参考ください、健康へのヒントがいっぱいあります。
私のお勧めする心と体を柔らかくする方法
内観、呼吸法、冷えとりなど、心を柔らかくする方法をご紹介してきましたが、このブログでご紹介しているストレッチやツボも気の滞りを取り除き、体と心を柔らかくするのに効果的です。ツボなんて自分で圧しても大変心地よいリラックス効果があるしね。
ヨガなどもいい先生に出会えたら、心と体の健康、心と体を柔らかくするのに大変効果的ですが、まっとうな先生は少ないものです。
こういう習い事はね、師匠選びが肝心。記事中に書いた師匠選びのコツを参考にしてください。
また体と心の緊張がお強い方は、東洋医学の施術を受けるのもいいですね。鍼灸や指圧など腕の良い治療家をお探しください。
心も気も説明や解説が難しいものです。心の深さなんて到底私には書き尽くせないし、気は頭ではわからないし感じるものです。
皆さんも感じるということを大切にして、体と心を柔らかくしましょうね。