東洋医学は思想が強い(笑)
とくに極めるとなると、単に知識や技術だけではムリである。学ぶにも難解ね。
今回はツボの世界観、東洋医学の思想のご紹介です。
ツボの名前
前回、正穴と阿是穴のツボのことを書きましたが、正穴には名前が与えられています。メジャーなところだと手の合谷、足の足三里、頭の百会や風池、足裏の湧泉など有名ですね。
ん、で気づきましたかね。谷や池、泉など、他にも、海や山、丘や陵などツボの名前には、自然の名前が多々、使われています。
これは東洋のきんたろー飴思想ですね、人体=環境、世界=宇宙であると。どこを切り取っても同じ構造がみうけられる。少し昔にはフラクタルという言葉が流行りましたが、あれですね。細部=全体であると。
からだもそれを取り巻く自然も、同じものだという思想がある。そしてこれは科学的には説明できないし、数字なんかでは表せない。イメージや詩的な言葉でしか言い表せないのですね、からだも世界の本質も。
もう東洋医学の古典をみると詩的な言葉で溢れています。科学的、数学的な説明なんかほぼありません。これは当時の中国で、科学や数学が発達していなかったわけではないのです。科学や数学的な表現では伝えられないのですね、生命の本質、そしてそれを癒すということは。
で、ツボの名前ね。
まぁ漢字ですからね、読めないことはないですが、中国語読みですし見慣れない漢字も多くありますね。
東洋医学のツボ、経絡のもとにあるのは自然=人間の世界観ですが、風水ですね。風水とは自然のエネルギーの流れを読む教えですが、主に大気と水脈の流れを重要視します。気の流れの悪いとこ、気の流れのいいとこを診て、家を建てたりお店を出したりする参考にします。誰だって気の流れ、運勢のいいとこに居たいもんね。もしくは人為的に気の流れを変えてみたりする。色や反対の性質のものを置いてみたり(水には火、土には金のようにね)ブレスレットを売ってみたり(笑)変な占いをしてお金を稼いだり(笑)風水は使えるね(笑)
からだも同じですね。気の流れのいいところや気の流れが滞っている場所を診断して治療していきます。そのポイントとしてツボがありますので、自然の気の流れを読む風水の影響なのでしょう、ツボに自然の名前が多いのは。
別に自然でなくてもよかったんでしょうけど、当時は風水が流行っていた(笑)というか中華思想自体、五行論や風水の思想の上に成り立っています。
占星術的に、ツボの名前を決めてもよかったかもしれませんしね、太陽や恒星、銀河の中心をからだの中心(丹田)に見立てて、ツボをその惑星、経絡を公道とか軌道に見立てても有だったと思いますがね。当時、占星術は流行っていなかったのですかね(笑)
また別にツボの名前は動物の名前でも良かったのにね。なんかそのほうが身近に感じられる(笑)覚えやすいしね。猫穴とか犬穴。
でもあれか、中国は古来から足のあるものはなんでも食すのが国民性ですからね、食人の歴史もあります。食べ物である動物の名前をツボの名前にするのは、いかんかったのでしょう。
ちなみに中国の菜館(レストラン)で、龍と書いてあれば蛇です、美味しいらしいです。猫は虎と書いてあるね、猫を食べるのは若干心が引けますね、愛猫家としては…
きんたろー飴
世界や宇宙、自分を観察してみると、物事には二つの面がある。陰と陽、男性と女性、海と山、犬と猫(笑)。ふむふむ、どうらや世界は二つの相反するもので成り立っているようである。で、もう少し観察して片方だけを見てみると、例えば陰と陽の陰のほうだけ見てみると、陰の中にも陰陽がある。ん、これはどういうこっちゃっと(笑)
わかりにくいね、これ。
たとえ変更。え~男と女、性質的には陰と陽である。しかし男性の中にも女性的な部分がある。女性の中にも男性的な部分がある。
これが陰陽論ですね。なんでもいいんです、どちらを陰として陽としても。原因と結果、見えるものと見えないもの、海と山、犬と猫(笑)
結果の中には次の物事を引き起こす原因があるし、見えるものの中にも裏側とか見えないところがある、海の中にも海底火山のような山がある、猫の中にも犬っぽいところがある…
まぁ単に認識論ですかね、片方を定義しないと片方も定義できないというね。
あぁ思想が強くなってしまった(笑)
ツボの名前ね。ツボの名前は自然の名前が多くつけられていて、人体も環境の一部、自分のからだ=自然であると気づかされるわけです。そしてツボの名前はなかなかいいネーミングですね。誰がツボの名前を決めたか定かではありませんが、いいセンスをしている。現代ならいいコピーライターになれるね。
骨と骨の合間、まさしく谷のような箇所には合谷というツボの名前がついているし、足裏の湧泉などツボは気が湧き出る、気があふれ出すように感じるところだしね。お腹の気海などはまさしく気の海、気の海に浸っているような感覚がある。からだのツボの存在する場所の形ばかりでなく、気の感じ、感覚をツボのネーミングにしているのはいいですね。
これが欧米になると、経絡がアルファベットで簡略化されていて、ツボには番号がついています。湧泉なんかをKI1、(Kidney Meridianの一番目)腎経をKI、その経絡上にあるツボだからKI1。
ん~つまらないね、自然を感じられないですね。
ツボの実感
また東洋医学に従事していると、気の感覚というものが育ってきます。相手や自分の気の感じが体感できるようになります。これは敏感な人なら受け手も感じることです。そして面白いのは経絡、ツボごとに違う気の感覚があることですね。
例えば、胆経肝経は主にからだの側面、手足の側面を走行している筋で、太い腱上にありますから、圧されるととても痛く感じるところで、胆経肝経のツボは他の経絡のツボよりとても痛く感じます。そして胆経肝経のツボを圧すと痛いのですが、気が晴れていくような感覚がある。まさしく鬱屈していた気が晴れていくとう感じがある。(鬱は肝経、肝虚とも関連しています)
肺経などは、圧されると呼吸が楽になるという実感があるし、ツボによってはツボの状態(虚実)によっては圧されると、気が広がっていく感じや解放される感じがある。
これらは受け手や術者、両方とも感じることができますね。
受け手の実感としても、ツボ療法の臨床では、色々な言葉でツボを圧された感じを表現していただきますね。
「気持ちいい」「痛気持ちいい」「とても気持ちいい」「いやな痛さです」とか「響く痛さです」「手に響きます」「どこかが突っ張る感じです」とか「なにか抜けていく感じがします」「なにかが通った感じがします」とか表現は十人十色ですね。
ツボ基礎知識:
痛みや疲れが取れるツボ:自分で圧せる特効穴