5つの気の原理、丹田、シンクロ、スピードに続き今回は気の原理4・腎経の解説です。
腎経はとっても重要、このラインを意識して使えれば最小の力で最大の効果が出せる。
治療によし、武道によし、スポーツによしのパワーラインなんですね、腎経は。
腎経
腎経とは14経絡の一つで、腎臓や副腎だけではなく、目の黒目や髪の毛、爪や骨など身体の黒い部分や固い部分を司るとされています。
髪や爪、骨や黒目などは老化が目に見えて表れてくるところ、腎経は精力や気力の大元みたいな気の流れで、腎経が弱ってくると老化する、だから腎経を鍛えて不老不死を目指します、仙道や道教は。
で、腎経の働きとしては自分を支える働きがあります。自分の軸や中心を安定させるスジと言ってもいいです。だから腎経が弱いとあっちにフラフラ、こっちにフラフラで身体も心も落ち着かんのです。
これは脊柱を支える腸腰筋や大腰筋も腎経に属するからです。実際的に腸腰筋や大腰筋は背骨を強力に支える筋肉ですから、腎経が弱いとね、身体の軸も中心も定まらないんですね。
腎経と丹田
腎経上に丹田があり、丹田に力を入れるときは自然に全身の腎経に力が入ります。
逆も同じ、手足の腎経に力を入れると自然にお腹の中の丹田に力の入った状態になります。
だから丹田の原理と腎経の気の原理は同じようなものなのですけど、腎経は意識的に使うことによって身体は最高の力を発揮できます。
手足の腎経
手の腎経は小指から前腕の内側、上腕の内側を走行しています。
実は手の指って小指側が大事なのです。雑巾を両手で絞るような動き、あれは腎経を使っているんですね。
次の気の原理、スパイラルでも説明しますが腎経をスパイラル(らせん)に動かす動き、これが身体は一番力が出せるのです。
横綱は小指で回しをとる、ともいいますし、粗相(そそう)をした方がケジメをつけるため小指を落とす、というのも腎経に力が入らないように腰砕けにするためです。
弓道などでもこの小指側のラインで弓を引くともいいますし、合気道などではこのラインを使って技をかけたりします。
腎経という言葉ではなくても、身体が最も力の出せるライン、パワーラインですから様々なジャンルで発見され活用されているラインです。
ユーキャンの古武術介護でもこのラインを使って、介護人が腰を傷めずに患者さんを抱き起したりするよう指導していました。
簡単に言えば腎経や丹田に力が入っている時に、身体はもっとも力強く安定して働くということです。
腎経を鍛える運動
これはまた気の鍛錬法・実践編で詳しくお伝えしますが、腎経を意識するだけで気と身体は力強く働きます。
例えば、
手足が外に回るような動き、解剖生理学的には外旋(がいせん)という動きです。
これやってもらえばわかりますが、これは腎経に力が入らず全身の力が入らない動きです。
次に内旋(ないせん)、手足が内側に回り込むような動きです。
手足がぐっと内側に力が入ると全身にガチッと力が入ります。この時に腎経を意識して使うと更に力強く全身が引き締まります。
こういう腎経にピタッと力が入っていないと何事も様になりませんし、上達もできません。
上はスパイラルパンチという鍛錬法。
丹田の水平移動、腕の腎経のスパイラルなパンチと引手の腎経のスパイラルな動き、これをシンクロさせてできるよう練習します。
丹田の動きと腎経の動き、全身の動きをシンクロさせて、丹田が止まったら手も全身も止まるようにします。
こういう、いろいろな力がシンクロできる動きって気持ちいいんですね。基本的な力を完全にコントロールできているっていうか、全身で動く気持ちよさを感じられるはずです。
詳しい腎経の鍛錬法はまた実践編で解説します。
次回にご紹介するのは気の原理5、スパイラル。
スパイラルは腎経と密接な関係が気の原理です。お楽しみに!