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後脛骨筋のストレッチと働きの解説です。
後というからには前があり前脛骨筋もありますが、後脛骨筋はブレーキを踏むような動き、足先を下に動かす(底屈)と足先を内側に動かす(内反する)筋肉で、マラソンやジョギングがお好きな方に多いシンスプリントという症状にも関連しています。
筋肉には主な動き、働きが1,2つあり、筋肉の初めと終わり(起始と停止)があります。
筋肉をストレッチするにはその働きと反対の動きをすればよいので、筋肉の働きや起始と停止を理解していればストレッチも行いやすいものです。
後脛骨筋のストレッチのやり方とともに、後脛骨筋の機能解剖も記しておきますが解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばしてストレッチのやり方をご参考ください。
ストレッチ基礎知識
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下肢、下腿の骨格
解剖学では足は下肢、太ももは大腿、膝から下は下腿と呼びます。
漫画の肉の骨のような美味しそうな骨、大腿骨があり、その下に脛骨と腓骨があります。
後脛骨筋は下腿後面に付着する筋肉なので、下腿の骨格を後ろから見てみるとこんな感じ。
弁慶の泣き所とも呼ばれますが、すねの骨である脛骨とその横に細い骨である腓骨があり、かかとの骨、踵骨があります。
後脛骨筋
後脛骨筋は脛骨と腓骨を起始としてくるぶしを通り足の裏の骨に至る筋肉です。
後脛骨筋の付着部
筋肉には主に2つの付着部があり、体幹側を起始(きし)、遠位側を停止(ていし)と呼びます。
後脛骨筋の起始:
骨間膜の後面上部1/2とそれに隣接する脛骨と腓骨
後脛骨筋の停止
舟状骨と3つの楔状骨骨底内側第2、3、4、5中足骨底
後脛骨筋の神経支配
脛骨神経(L5、S1)
後脛骨筋の触診
後脛骨筋は下腿深層にあるため触診できません、残念。
後脛骨筋の働き
後脛骨筋は、足先を内側に動かし(内反)、足先を下げる(底屈)筋肉です。
後脛骨筋と同じ働き働きをする筋肉やその反対の働きをする筋肉(拮抗筋)などのストレッチは各筋肉にて解説しています。
解剖学的なことがめんどくさい方は、ふくらはぎストレッチとすねストレッチにまとめてありますので、そちらをご参考ください。
後脛骨筋と同じ働きをする筋肉
足首を底屈させる筋肉には主に腓腹筋とヒラメ筋があり、足の指を曲げる(屈曲)筋肉も底屈に関与します。
足首を底屈する筋肉
足の指を屈曲する筋肉
後脛骨筋と反対の動きをする筋肉
その筋肉と反対の働きを持つ筋肉を拮抗筋(きっこうきん)といいます。
後脛骨筋の底屈の反対は足首の背屈で、すねの筋肉が主に足首を背屈させます。また足の指を伸展させる筋肉も背屈に関与します。
足首を背屈する筋肉
足の指を伸展させる筋肉
シンスプリントとは?
スポーツマンやジョギングやマラソンがお好きな方はよく聞く言葉だと思いますが、シンスプリントという症状があります。
シンスプリントは、この後脛骨筋、前脛骨筋、長趾伸筋の炎症による慢性的な障害を表す一般的な呼び名です。
短距離走や長距離走でもよく起こりますが、これは筋力不足や柔軟性不足、持久力不足で発生しやすいと考えられます。
運動やマラソンがお好きな方、ふくらはぎが固くてパンパンのような方は、ご紹介するストレッチで十分に柔軟性を養いましょう。
後脛骨筋のストレッチ
後脛骨筋は、足先を内側に動かし(内反)、足先を下げる(底屈)筋肉なので、その働きの逆の動き、足首の外反と背屈でストレッチできます。
両足一緒に行える形と片足ずつ行う後脛骨筋のストレッチをご紹介します。
両足の後脛骨筋のストレッチ
上記はヨガのアーサナ(ストレッチのようなポージング)の犬のポーズという形です。
肩のストレッチとしてもご紹介していますが、きれいな三角になるように、膝を伸ばして更に背中と腕がまっすぐに伸ばせられれば後脛骨筋とともに肩関節もストレッチもできます。
ヨガの場合は呼吸をうまく使うので、上記のストレッチのポーズで腹式呼吸を行うと更に効果的です。
足先を開いて、息を吸うときに背骨を伸ばすようにして踵を更に押し出すようにすると後脛骨筋が更にストレッチされるのを感じることができます。
片足ずつ行う後脛骨筋ストレッチ
左右の後脛骨筋を片足ずつ丁寧に行う形もあります。
この形をとってから背骨を伸ばすように息をするとより後脛骨筋を含めたふくらはぎ全体がストレッチされるのを感じることができます。
上記のストレッチは力の入れ具合、踵を押し出したり、足先を引っ張ってみたり、腰の曲げ具合や膝の緩め方次第で後脛骨筋だったり、アキレス腱だったり、膝裏だったり、足の付け根だったり、ストレッチする場所を変えることができます。
少し角度を変えて試してみればストレッチできる部位が違いますので、いろいろとお試しください。
まとめ
後脛骨筋のような深層にある筋肉は直接には施術できません。
筋肉は起始や停止へ施術すると緊張やコリを取り除きやすいのですが、施術しやすい筋肉と後脛骨筋のような施術しにくい筋肉もあります。
施術しにくい筋肉はストレッチのような運動療法でしかケアできないので、ご紹介したストレッチで後脛骨筋を優しくケアしてくださいね。