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なぜか人気の体を柔らかくするシリーズ、今回は腰を柔らかくする方法のご紹介です。
腰のストレッチをメインに、腰のスジを柔らかくするツボや体全体を柔らかくする「半身浴」など腰を柔らかくする方法を徹底的に解説したいと思います。
腰は身体の中心であり、動きの中心で気の中心点である丹田(たんでん)もあります。
腰について理解が深まるよう、腰の動きや機能解剖とともに気と体の使い方もご紹介しますのが、解剖学的なことがめんどくさい方はそのような所は飛ばして腰を柔らかくする方法・実践編をご参考ください。
今回は大事な大事な体の要である「腰」を柔らかくする方法のご紹介ですが、腰を安全に効果的に柔らかくするには少々コツがあります。
どのような運動、スポーツやダンスやバレエなどの舞踊、武道においても腰が固いというのは致命的です。文字通り腰は人体の要であり動きの中心ですので腰が固いと力が出ない、力が正確に伝わらないのです。日常生活においても腰が固ければ疲れやすいですし、腰を痛めてしまう原因にもなりかねません。
腰を柔らかくするストレッチなどの実践法に加え腰の動きや腰の構造もご説明いたしますので、ぜひ実践して丈夫な柔らかい「粘り腰」を作っていきましょう!
- 体を柔らかくする方法
- 腰を柔らかくするストレッチ(この記事です)
- 股関節を柔らかくするストレッチ
- 足首を柔らかくするストレッチ
- 首を柔らかくするストレッチ
- 背中を柔らかくするストレッチ
腰の骨格
背骨は上は細く、下に行くにつれて太くなっていきます。
上半身を支える腰椎は写真のようにとても太い骨になっています。
骨盤の仙骨の上に第五腰椎~第一腰椎があります。
腰を柔らかくするとはこの腰椎の可動域を広げたいのですね。
意外と知らない骨盤
骨盤って皆さんなんとなくわかると思いますが、結構ややこしいところなのです。
骨盤の骨、寛骨(かんこつ)とは恥骨・坐骨・腸骨を総称した呼び名です。
解剖学ってややこしいのね。
でも仙骨の上の腰椎、この部分っていかにも体の中心って感じがしますね。
後述しますが気とエネルギーの中心点、丹田もこの部分に存在します。
問題の起きやすいのは仙骨と第五腰椎の間と第五腰椎と第四腰椎の間
腰椎に限らず背骨は椎骨と椎間板が交互に組み合わさっています。
椎間板は軟骨で背骨に負担の掛からないようクッションの役割をしていて、このような構造だからこそ腰椎を含めた背骨が柔軟性をもって動きるのですが、仙骨と第五腰椎の間と第五腰椎と第四腰椎の間は特に負担の掛かる部分で腰椎の椎間板ヘルニアや腰痛の原因になりやすい部分なんですね。
腰椎の椎間板ヘルニアは、ほとんどこの仙骨と第五腰椎、第五腰椎と第四腰椎の間で起こります。
椎間板ヘルニア:
脊椎のヘルニアは主に腰椎に起こりますが、頸椎でも見られる症状です。
ヘルニアとは「飛び出す」の意味で、椎骨と椎骨の間のクッションの役目を果たす軟骨である椎間板がすり減ってしまったり、変位してしまうことで神経が飛び出してしまう状態です。
骨格の変位ではありませんが鼠径部から内臓が飛び出してしまう、俗にいう脱腸というのもヘルニアです。
腰の柔軟性がないと体重や力の負担が一か所にかかり、その部位を痛めてしまったり、その部位をかばおうと別の部位を痛めてしまったりもします。
ご紹介する腰を柔らかくする方法はケガの予防にもなりますので、腰が固いような方はぜひ柔軟性を養いましょう。
背骨のS字カーブ
背骨は生理的湾曲・S字カーブという自然な湾曲を描いています。このS字カーブのおかげで私たちの体は、体への衝撃や重力、G、自らの体重の負担を上手く分散することができるのです。
後述するように恥骨の付着する腹筋が発達していると骨盤を引き上げ自然と腰が立った状態になるのですが、腹筋が弱いと骨盤が後傾して上記の背骨の生理的湾曲を崩してしまいます。
健全な腰の姿勢を保つためにはある程度、腹筋が発達していなければなりません。
腰の動き
腰椎は主に屈曲と伸展(前屈と後屈)、側屈、回旋といった4つの動きがあります。骨盤はほとんど動きませんが骨盤の上にある腰椎は比較的に自由に動きます。
腰を柔らかくするストレッチも腰を反るストレッチ・腰を曲げるストレッチ・腰をねじるストレッチ・腰の側屈のストレッチ、この4つの動きの腰のストレッチがあります。
腰の動きと筋肉(外部リンク)
腰の屈曲と伸展
腰の前屈と後屈を解剖学では屈曲と伸展といいます。
主に体の前面にある腹筋が腰を屈曲させ、体の後面の背筋が腰を伸展させます。
腹筋と背筋は腰の側屈と回旋にも関わる筋肉なので、腰を柔らかくしたい方はこの2つの筋肉を十分にケアする必要があります。
腰の側屈
側屈は日常ではあまりしない動きで、ほとんどの方は側屈が苦手です。
普段あまり伸ばさないところなので、後述する腰の側屈ストレッチは大変気持ちいいですよ。
腰の回旋
腰をねじる動きは回旋です。
腰をねじる動きも日常では限界までは行いませんよね。
腰をねじるストレッチは肋骨も伸ばされ、下腹部内臓も気持ちよくストレッチできるのでおススメです。
腰を柔らかくするストレッチも、この4つの方向のストレッチをご紹介いたします。
腰を柔らかくしたい部位、方向のストレッチを行っていただいてもいいし、4つの方向のストレッチを全部やってもいいですよ。
覚えてほしいお腹の中の筋肉、腸腰筋(大腰筋)
腸腰筋(ちょうようきん)とは3つの筋肉の総称で大腰筋・腸骨筋・小腰筋を合わせた呼び名です。
腸腰筋は腰よりも股関節の動きに関与しますが、大腰筋などは腰椎に付着しているため体幹(腰)の安定には欠かせない筋肉です。
腸腰筋(大腰筋)は体の中にあり、マッサージや指圧などでは直接は治療できない筋肉なのでストレッチなどの運動療法でしかケアできません。この腸腰筋(大腰筋)が疲れたり弱ってくると、
この腸腰筋を柔らかくするのが腰を柔らかくするコツです。
腸腰筋を構成する筋肉(外部リンク)
腰の動きと気の話
「腰を切る」という動きがあります。野球のバッティングの後半部分やゴルフのスイングなどの後半の部分の動きです。武道では「腰を切る」という動きをとても重要視して鍛えたりするのですが、腰が固い、腸腰筋が固かったり疲れているとこの一番大事な大きな力を引き出す腰の動きができないのです。
腰を切る動きというのを日本人はとても重要視するんですね。「腰を引く」動きといってもいいですね。チャンバラなどでも自分から切りにかかるのではなく向かってきたところを切る、日本刀を引く動きです。
これ野球でもゴルフでもダンスでもバレエでも武道でもとても大事な動きなんですね。
試しに腰を切る、腰を引くというコトを意識して腰を前に出す動きではなく腰を引く動きに一番力が入るように体を動かすとびっくりしますよ。
こんなにも力が出せるのかって。合気道などでもこの一番強い動きを使って相手を倒したりもします。
腰が固いとこの一番力を出せる「腰を切る」動きがスムースにできないんですね。で、腰を痛めてしまったりもします。
丹田
東洋医学では腰とお腹の中心を丹田(たんでん)と呼びとても重要視します。
実際にここを中心に力が伝わる、力の中心点みたいなところなんですけど、体軸もこの丹田の延長上にあります。
ここが柔らかくてエネルギッシュならねぇ、すこぶる調子がいいんですけどみんなこの丹田が閉気味なんですね。
丹田が閉じているとは、虚弱状態、気の不足状態、エネルギーに乏しい状態という意味です。ご紹介する腰を反る(伸展させる)ストレッチはこの丹田を活性化させて「丹田を開く」効果がありますので、いまいち体の調子が悪い方、元気のない方、老化が気になる方は、ご紹介するストレッチで丹田を柔らかくエネルギッシュに鍛えていただきたいものです。
腰を柔らかくするコツ
腰を柔らかくするストレッチをご紹介していきますが、腰を柔らかくするコツは「完全呼吸」です。
完全呼吸とは腹式呼吸に胸式呼吸を加えたものですが、大きくゆっくり限界まで完全呼吸するだけでも腰椎がストレッチされるのを感じることができます。
腰が固い、筋肉が固いというのは神経の緊張状態でもあります。神経がリラックスして緩まないといくら頑張ってストレッチしても準備運動くらいの効果しかありません。
完全呼吸は自律神経を緩めるのにもとても効果的なので、ご紹介する腰のストレッチをしながら完全呼吸を10回ほど行ってください。
ゆったり大きく、息を吐くたびに腰が柔らかくなり、息を吸うたびに腰が更にストレッチされるのを感じてみてください。「ストレッチしている場所を感じる」というのも腰を柔らかくする効果を高めます。
股関節を柔らかくするコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方:
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
深い呼吸が苦手な人は、ストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
背骨を伸ばすように息を吸うだけでも背骨が気持ちよくストレッチできますよ。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜くと、ストレッチしているスジが息を吸うたびに更にストレッチされます。
ご紹介する腰を柔らかくするストレッチの形をとり、この完全呼吸をすることを心がけてください。
更に詳しくはストレッチ効果を高める完全呼吸をご参考ください。
ご紹介するストレッチはこの完全呼吸を使い反動をつけずにゆっくりとした動きで行ってください。
反動をつけたり無理矢理力任せにストレッチを行っても筋肉やスジを緩める効果はありませんし、スジを痛めてしまう原因にもなりかねません。
腰を柔らかくするストレッチ・基本編
まず初めに腰の伸展方向を柔らかくするストレッチをご紹介します。
このストレッチは腰のストレッチの基本というばかりでなく、私がストレッチの基本として超絶におススメしているものです。
なぜならばこのストレッチは体の中心、その裏表の関係にあるお腹と腰を気持ちよくストレッチできるからです。
体の中心が緩まれば他の部位も緩みやすいので、股関節を柔らかくするストレッチやふくらはぎを柔らかくするストレッチなどを行うにもこのストレッチを基本として行うと効果的なのです。
とても深く腰を緩めることができますが自分に合った深さで完全呼吸を10回ほど行ってください。決して無理はせずにリラックスして行います。呼吸のたびに、お腹の中や腰が気持ちよく伸びるのを感じてみてください。
ストレッチの手順
腰が柔らかい人
そんなんじゃ物足りない人用ストレッチ
写真のように足を上げるとさらに腰がストレッチできますが、体の固い人はやらないでくださいね、腰を痛めます。
特にこのストレッチは股関節を深く曲げていきますので、安全に行うために滑りにくいヨガマットなどの上で行ってくださいね。
腰を柔らくするストレッチ基本編・動画解説
[su_youtube url="https://www.youtube.com/watch?v=VqBagwWSkaQ" width="640" height="360"]
追記:上記の腰を柔らかくするストレッチの動画を作成しましたので、写真だけでは分かりにくかった人は動画をご参考ください。
ねじる腰を柔らかくするストレッチ
先述したように腰をねじる動きというのは最大の力を発揮します。
ゴルフのスウィングや野球のバッティングのように腰を切る動きですね。
この動きには腰の基本のストレッチでご紹介した腸腰筋や丹田が深くかかわっていて「腰を切る」動きというのは特に東洋や日本の芸能や武道では重要視します。
そんな大事な腰を切る動き、腰をねじるストレッチを2つ、立って行えるストレッチと丁寧に行えるストレッチをご紹介をしたいと思います。
簡単なねじる腰のストレッチ
まずはねじる腰のストレッチ簡易版、立って行うねじるストレッチですが、一生懸命にグイグイと行ってはなりません。
呼吸を深く行い(完全呼吸)ゆっくりと行ってください。
膝はねじれないようにできていますので、できるだけ下半身はねじらずに腰から上、上半身だけねじるようにストレッチしてください。
目線が止まると体の動きも止まるので、目線をねじる方向に向けながらストレッチしていきます。
これは簡易的なものなのでいつでもどこでもできますね。
いや、そんなんじゃモノ足りない。という方には更に深い腰をねじるストレッチがあります。
座って行うねじる腰のストレッチ
上記の腰をねじるストレッチはヨガから拝借したものですが、足が組めない方は股関節を柔らかくするストレッチや足首を柔らかくするストレッチを先に行って下半身の柔軟性を高めてから再度チャレンジ。
呼吸を上手く使い息を吐くたびに更に腰を横にねじり、息を吸うたびに腰を上にまっすぐにするのがコツです。ストレッチは呼吸を上手く使いながら行うとさらに効果的に安全に体を柔らかくすることができるんですね。
側屈する腰を柔らかくするストレッチ
基本の腰を反るストレッチとねじるストレッチをご紹介してきましたが、もう一つ腰の動きには側屈があります。
側屈ってあまり日常ではしないので皆さん、側屈が苦手だと思います。
側屈する腰のストレッチを2つ、これまた簡易版と丁寧版をご紹介いたします。
立って行う側屈する腰のストレッチ
このストレッチは腰を側屈できるだけでなく胸部の肋骨を広げることができます。
側屈のストレッチは浅くなりやすい呼吸を広げるのにも役立つのでおススメです。
丁寧な側屈する腰のストレッチ
今度は丁寧な側屈する腰のストレッチですがこれも左右別に行います。
腰ばかりでなくついでに太ももからふくらはぎ、アキレス腱まで伸ばせるストレッチですから、少し長くなりますが側屈ついでにご紹介しておきます。
前振りが長くなってしまいましたが、ここからが腰の側屈のストレッチです。
この形はとても深くまで腰をストレッチすることができます。
そんなに側屈できなくてもいいので腰や背中が丸まらないように腰と背中を伸ばしてから側屈してください。
手が届く人は側屈している方の手も足をつかみます。
上記の姿勢で前屈と側屈が丁寧に行えます。自分の限界の深さで10回ほど完全呼吸をゆっくりしてください。
完全呼吸でストレッチしているとどんどん体が柔らかくなってきますので、徐々にストレッチする深さを深めていくことができます。
基本の腰を柔らかくするストレッチ、腰をねじるストレッチ、腰の側屈のストレッチ、3つの腰のストレッチをご紹介してきましたがやはり腰の基本のストレッチは大事ですね。
この部分がうまくストレッチできないと、他のストレッチもあまり効果がないほどに大事なストレッチなのです。
まずは基本の腰のストレッチを気持ちよく行い、ほかのストレッチを試してみてくださいね。
腰を柔らかくするには下半身を温めることが重要
血液の流れをよくすることはどのような症状・お悩みにも効果的ですので、腰を柔らかくする為に血行を良くする半身浴をお勧めします。
半身浴の前後にご紹介した腰を柔らかくするストレッチを行っていただければ、さらに安全に効果的に腰を柔らかくすることができます。
半身浴のやり方:
- お湯はみぞおちくらいまで、心臓は温めません。
- 下半身だけ温めたいので、腕は必ず出して入ります。
- お湯の温度は39~40度くらい、熱すぎはいけません。
- お腹の中が温まるまで20分は入ります。長い分にはいくら長く入っても良いです。
- 工夫して半身浴を楽しみましょう。
半身浴は健康と美容に欠かせませんのでご興味のある方は、体を柔らかくする半身浴をご参考ください。
腰を柔らかくする方法・ツボ圧し
腰が痛い、腰のスジがこっている方などは自分で腰のスジを柔らかくするツボを押してスジの緊張や張りをとることができます。
ツボは自分でも正確に圧せれば即効的にスジのコリを解消することのできる優れモノです。
腰痛でお困りの方は、腰痛マッサージの手引きもお役に立てると思います。
追記:腰に負担をかけない寝方
腰痛のための寝方ガイドや妊婦さんの為の腰痛ガイドでもご紹介させていただきましたが、腰や股関節の痛みや症状を抱えている方、ケガをしてしまった方、特に妊婦さんなどには腰に負担がかからないように就寝時に抱き枕をおススメしています。
写真の寝方、横向きで片足を曲げて膝90度、股関節90度の形って腰の緊張をとるのに最適な形なのです、実際に寝やすいですしね。
これはオステオパシーという西洋の整体療法にその手法があります。オステオパシーでは上記のような恰好に術者が動かして腰椎の緊張をとるのですが、横向きに寝て両足に抱き枕を挟むと自然に腰や股関節の負担が軽くなるんですね。
腰や股関節をケガしているときには抱き枕があると就寝がとても楽になります。
さらに両手の間に抱き枕があれば肩関節もとても楽になります。妊婦さんや出産後の股関節や骨盤の問題、腰痛や体の痛みをお持ちの方、スポーツや運動がお好きな方、細身の方などにはこの抱き枕を使った寝方はとてもおススメです。
大きさは120センチくらいのものが肩も挟めて楽です。このブログでレビューしている抱き枕はカバー付き。
更に寒くなってきたら陶器の湯たんぽを足元に置けばパーフェクト。
まとめ
ご興味のわいた腰を柔らかくする方法はありましたか?
体は正確な刺激を与えれば必ず変化していきますので、そそられた腰を柔らかくする方法を実践してみてください。
半身浴を習慣づけて、ご紹介した基本の腰を柔らかくするストレッチだけでも十分に腰が柔らかくなっていくと思います。