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ヒラメ筋ストレッチのやり方と働きの解説です。
ふくらはぎの筋肉、腓腹筋の下にヒラメ筋があり、ともにアキレス腱となる筋肉です。

一つの筋肉には主な働き、動きが一つあり、筋肉には初めと終わり、起始部・停止部といったものがあります。
ヒラメ筋の働きや機能解剖能などを知っておけばストレッチも行いやすいのでヒラメ筋の機能や解剖学的なことも解説しますが、解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばして、ヒラメ筋ストレッチのやり方をご参考ください。
ストレッチ基礎知識
下肢の骨格

下腿の骨格
解剖学では足は下肢、太ももは大腿(だいたい)、膝から下は下腿(かたい)と呼びます。
漫画の肉の骨のような美味しそうな骨、大腿骨があり、その下に脛骨と腓骨があります。
ヒラメ筋は下腿後面に付着する筋肉なので、下腿の骨格を後ろから見てみるとこんな感じ。

ヒラメ筋が付着する下腿
ヒラメ筋の起始がある脛骨と腓骨、ヒラメ筋が停止する踵骨があります。
ヒラメ筋

ヒラメ筋
ヒラメ筋は脛骨と腓骨の後部からかかとの骨、踵骨に付着する筋肉です。
ヒラメ筋の起始と停止
筋肉はほとんど2つの付着部を持ち、筋肉が収縮することで骨格を動かすことができます。
筋肉の体幹側の付着部を起始(きし)、遠位側を停止(ていし)と呼びます。

ヒラメ筋の起始と停止
ヒラメ筋の起始:
脛骨と腓骨の後面上部
ヒラメ筋の停止
踵骨の後面(踵骨隆起)
ヒラメ筋の神経支配
脛骨神経(S1,2)
ヒラメ筋の触診
ヒラメ筋の上には腓腹筋がありますが、ヒラメ筋は外側の腓腹筋の下で触れられます。
またヒラメ筋は腓腹筋とともにアキレス腱になりますが、アキレス腱は下腿後部下部で触診することができます。
ヒラメ筋は腓腹筋の下にある

横から見るとわかりやすいのですが、ヒラメ筋は腓腹筋の下にあり、ともにアキレス腱を経て踵骨につきます。
ヒラメ筋の上には腓腹筋があり、この二つの筋肉がともにアキレス腱となります。

腓腹筋とヒラメ筋からなるアキレス腱
ヒラメ筋は下腿三頭筋とも言います。
ヒラメ筋と腓腹筋を合わせて下腿三頭筋とも言います。
なんで2つの筋肉なのに3頭なのかというと、腓腹筋が2つの頭(起始)を持っているからです。
意外と知らないことですが、人体最大の筋肉として有名な太ももの前面の筋肉、大腿四頭筋も4つの筋肉の総称で、太ももの後面のハムストリングスも3つの筋肉の総称です。
筋肉にも知名度のある筋肉やマイナーな筋肉があるんですね、ヒラメ筋は意外とメジャーだけど下腿三頭筋としてははあまり知られていないですね。
ヒラメ筋の働き
ヒラメ筋の働きは主に足関節の底屈です。

ヒラメ筋の底屈とは、ブレーキを踏むような動き、足先を下に動かす働きを言います。
腓腹筋もヒラメ筋と同様に足首を底屈する筋肉ですが、膝が曲がっている状態だと腓腹筋の働きが弱くなり、ヒラメ筋の働きが重要になってきます。
歩く、走る、踊る(?)、常に体には重力がかかっていますので、身体を支え足首を動かすヒラメ筋の働きはどのような動きでも重要です。
ヒラメ筋と同じ働きをする筋肉や反対の動きをする筋肉の機能やストレッチは下記にて解説していますので、各筋肉の詳細が知りたい方はご参考ください。
そこまで詳しく知りたくない方は足首ストレッチ、ふくらはぎストレッチにて、足首の動きとストレッチをまとめて解説していますのでそちらをご参考ください。
ヒラメ筋とともに働く筋肉
足首の底屈にはヒラメ筋の他に、腓腹筋、後脛骨筋、長腓骨筋、短腓骨筋、足の指を曲げる筋肉も関与します。
足首を底屈させる筋肉
ヒラメ筋の反対の働き
その筋肉と反対の働きをする筋肉を拮抗筋(きっこうきん)といいます。
関節を曲げる筋肉もあれば伸ばす筋肉もなければなりませんもんね。
ヒラメ筋の足首の底屈の反対は足首の背屈です。

足先を上にあげる足首の動きを背屈、車のブレーキを足先で踏むような足首の動きを底屈と言います。
足首を背屈する筋肉には第三腓骨筋、前脛骨筋、また足の指を伸展する筋肉も背屈に関与します。
ヒラメ筋と反対の働き、足首を背屈する筋肉
親指を伸展、屈曲する筋肉
親指以外を伸展、屈曲する筋肉
ヒラメ筋ストレッチ
ヒラメ筋ストレッチですが腓腹筋と同じ形、ヒラメ筋の働き(底屈)の反対の動き、足首の背屈でヒラメ筋ストレッチができます。
同じ形ですが、腓腹筋をストレッチしたいときは完全に膝を伸ばして行い、ヒラメ筋を集中的にストレッチしたいときは膝を少し曲げて行います。
簡単なヒラメ筋ストレッチを2つと、より深くヒラメ筋をストレッチできる形、3つのヒラメ筋ストレッチをご紹介いたします。
簡単なヒラメ筋ストレッチ

簡単なヒラメ筋ストレッチ
簡単にヒラメ筋ストレッチするには、膝を少し緩めアキレス腱を伸ばせばストレッチできます。
壁から1mくらい離れて立って両手を壁につけ体を倒すとヒラメ筋がストレッチされます。
足先は前に向け踵を床につけたままにするのがコツですが、膝を完全に伸ばすと腓腹筋が、膝を少し緩めるとヒラメ筋がストレッチされるのを感じることができます。
もう少しヒラメ筋ストレッチを行いたい方は、床に両手をついて行います。
床で行うヒラメ筋のストレッチ
更に深くヒラメ筋をストレッチしたい場合は、床に手をついてヒラメ筋ストレッチをします。

手と膝をついて…

踵をつけたまま膝を伸ばすと両足のヒラメ筋がよりストレッチされます。これも膝を完全に伸ばすと腓腹筋がストレッチされ、膝を少し緩めるとヒラメ筋がよりストレッチされるのを感じることができます。
上記はヨガのアーサナ(ストレッチのようなポージング)の犬のポーズという形です。
肩のストレッチとしてもご紹介していますが、きれいな三角になるように、膝を伸ばして更に背中と腕がまっすぐに伸ばせられればヒラメ筋とともに肩関節もストレッチもできます。
ヨガの場合は呼吸をうまく使うので、上記のストレッチのポーズで腹式呼吸を行うと更に効果的です。
息を吸うときに背骨を伸ばすようにして踵を更に押し出すようにするとヒラメ筋が更にストレッチされるのを感じることができます。
腹式呼吸が初めての方はストレッチのための腹式呼吸をご参考ください。
また、ストレッチされている部分を感じる、意識するということもストレッチ効果を高めます。
更にヒラメ筋ストレッチをしたい方、スポーツがお好きな方などには左右別々に行うヒラメ筋ストレッチがあります。
左右別々に行うヒラメ筋のストレッチ
左右のヒラメ筋を片足ずつ丁寧に行う形です。

まず膝を伸ばします。

ストレッチするほうの足を開脚します。

反対の膝を曲げ内ももに足の裏をくっつけます。

こんな感じに足の裏を太ももの内側にぴったり付けます。

ストレッチする足の先に体を向けて両手をあげます。背中や腰がまっすぐになるようにしましょう。

そのまま前屈しますが、できるだけ背中やお腹が丸くならないようにします。お腹を太ももに近づけるようにすると足の裏全体がうまくストレッチできます。つかめる人は足の指をつかんでください。

天井を見るようにして腰をまっすぐにしてからさらに前屈するとヒラメ筋のみならず足の裏側全体が気持ちよくストレッチできます。踵を押し出すようにするとよりヒラメ筋がストレッチできます。
この形をとってから背骨を伸ばすように息をするとよりヒラメ筋がストレッチされるのを感じることができます。
上記のストレッチは力の入れ具合、踵を押し出したり、足先を引っ張ってみたり、腰の曲げ具合や膝の緩め方次第でヒラメ筋だったり、膝裏だったり、足の付け根だったり、ストレッチする場所を変えることができます。
少し角度を変えて試してみればストレッチできる部位が違いますので、いろいろとお試しください。
まとめ

また、ヒラメ筋ストレッチとともにヒラメ筋の機能解剖も解説してきましたが、ヒラメ筋について理解は深まりましたか?
ヒラメ筋は腓腹筋と同様に足首を使う動きで負担の掛かりやすいところ、またふくらはぎは第二の心臓とも呼ばれ、下半身に停滞しがちな血液を心臓に戻すポンプのような働きも持っています。
ヒラメ筋が固い、ふくらはぎがパンパンのような方は、ふくらはぎを柔らかくする方法にてふくらはぎのツボやストレッチをまとめてご紹介していますので、ご興味のある方はご参考ください。