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アキレス腱ストレッチのやり方とコツの解説です。
アキレス腱の機能解剖的なコトと、2つのアキレス腱ストレッチのやり方とコツをご紹介します。
よくアキレス腱は単体で扱われることが多いのですが、アキレス腱は腓腹筋とヒラメ筋の停止部の腱のことです。
腓腹筋とヒラメ筋で下腿三頭筋とも総称されて呼ばれたりもします。
今回は、意外と知らないアキレス腱についての解説とアキレス腱ストレッチのコツをご紹介していきます。
機能解剖学的なことがめんどくさい方は、解剖学的なことは飛ばしてアキレス腱ストレッチのやり方をご参考ください。
安全に効果的にアキレス腱をストレッチできるよう丁寧に解説していきますので、アキレス腱(ふくらはぎ)や足首を柔らかくしたい方は、ぜひ一読して実践してください。
ストレッチの基礎知識:
アキレス腱
筋肉でカタカナの名前は少ないのですが、アキレス腱は前回のハムストリングスストレッチの解説に続いて珍しいカタカナの部位です。
アキレス腱の由来はギリシャ神話。
アキレウスが踵を弓で射抜かれて倒れた。ということからきていますが、その話の前に母親が不死身の身体にすべく子供のアキレウスを川で沐浴させるとき、踵をつかんでいたのでそこだけ不死にならなかったという前振りがあります。
そんな話がなくても、アキレス腱を痛めたら歩けませんしね、人体の急所でもありますから大事にいたわりたいところです。
牛スジも牛さんのアキレス腱のことで、静岡の遠州や愛知では牛スジの煮込みを土手焼き、どて煮ともいます。
プロレスのアキレス腱固めは、急所であるアキレス腱を責める関節技。
意外とアキレス腱って身近なのね。
で、アキレス腱ですがふくらはぎの筋肉、腓腹筋とヒラメ筋の腱の部分のことです。
筋肉は収縮して力を発揮する赤身の部分があり、あまり伸びない白い腱の部分があります。
アキレス腱自体もあまり収縮するところではなく、腓腹筋やヒラメ筋が収縮することで力を発揮します、腱の部分はその力を伝えやすいような固い部分なんですね。
アキレス腱の働き
アキレス腱に続く腓腹筋とヒラメ筋は主に足首を動かす筋肉で、足先を底屈させる筋肉です。
底屈とはブレーキを踏むような動きです。
アキレス腱につながる筋肉・腓腹筋
ふくらはぎの筋肉、大腿骨を起始とする腓腹筋がアキレス腱となり踵の骨に付着しています。
腓腹筋は膝関節と足関節、2つの関節をまたぐ筋肉なんですね。
アキレス腱ストレッチも腓腹筋ストレッチと同じ形になります。
アキレス腱につながる筋肉・ヒラメ筋
ヒラメ筋は腓腹筋の下にあり、腓腹筋とともにアキレス腱になります。
ヒラメ筋ストレッチもアキレス腱ストレッチ、腓腹筋ストレッチと同じ形なのですが、膝を少し緩めて行うと腓腹筋よりヒラメ筋がストレッチできます。
下腿三頭筋
腓腹筋とヒラメ筋を合わせて下腿三頭筋とも言いますが、これはあまり知られていない名称ですね。
大腿四頭筋などは有名でのですが、筋肉にもメジャーなものやマイナーなものがあります。
で、なんで頭が3つなのかというと3つの筋肉の総称ではなく、先ほどの腓腹筋が2つの起始を持っているからです。
腓腹筋とヒラメ筋、その中のアキレス腱、合わせて下腿三頭筋。キングギドラっぽいですね。
2つのアキレス腱ストレッチ
アキレス腱ストレッチのコツと2つのストレッチをご紹介します。
両足のアキレス腱を同時にストレッチできる形と片足ずつ丁寧に行う形がありますので、アキレス腱が固いような方は両足同時のストレッチを行ってください。
スポーツマンやアキレス腱が比較的柔らかい人は、片足ずつのアキレス腱ストレッチを行いましょう。
アキレス腱ストレッチのコツ
アキレス腱に限らず、身体の柔軟性を回復させるコツは実は呼吸にあるのです。
このストレッチ・ツボブログでご紹介しているストレッチは、ヨガのように呼吸を使いながら行うように解説しています。
一般的なストレッチはただ筋肉が伸びる姿勢をとるだけ、というものですが、それでは準備運動くらいの効果しかありません。
ストレッチは呼吸を上手く使えば体の芯から柔軟性を回復させることができます。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
この腹式呼吸がねぇ、結構皆さんできないんですね。
男女問わず腹式呼吸が苦手な方が多い。
本来は男性より女性の方が呼吸が浅い体質なのですが、私が診るところ男性も同じくらいに呼吸が浅いんですね。
呼吸が深いとエネルギーも多く取り込めますし、精神も落ち着く。
深い呼吸が苦手な人は、アキレス腱ストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜いてください。
特に固く筋張っているスジなどは、丁寧に呼吸を上手く使わないとなかなか柔軟性は回復しません。完全呼吸を行うことを優先してご紹介するアキレス腱ストレッチを行ってください。
更に詳しくはストレッチ効果を高める腹式呼吸をご参考ください。
両足一緒に行うアキレス腱ストレッチ
では、まず両足同時に行えるアキレス腱ストレッチのご紹介です。
このストレッチはアキレス腱と共に下腿の後面、肩関節も一緒に気持ちよくストレッチできる形です。ストレッチは伸びている部分を感じる・意識するということでも効果は高まります。意識する部分を変えてみるだけでその効果は異なりますので、今回はアキレス腱に集中してください。
このストレッチは床や畳だと滑りやすいので、絨毯などの滑りずらい所やヨガマットの上などで行ってください。
きれいな三角形になるように、手~背中、足を伸ばします。お尻を天井に突き上げて、頭と肩関節を前に入れ込むときれいにストレッチできます。アキレス腱から太ももの裏までストレッチできますので、大変気持ちがいいですよ。
写真の形をとって10回回ほど完全呼吸をしてください。息を吸うたびに身体が伸びて、息を吐くたびに身体が緩むのを感じてみてくださいね。
息を吸うときに背骨を伸ばすようにして吸うと同時にアキレス腱もよりストレッチます。
アキレス腱がとても固い人は、踵が床につかないかもしれませんが、そういう人はまず踵を床につけてから徐々に膝を伸ばしていくと上手くストレッチできます。
完全呼吸をすることを優先して、ゆっくり徐々にリラックスしてアキレス腱ストレッチを行ってください。
片足ずつのアキレス腱ストレッチ
今度は片足ずつ行うアキレス腱ストレッチです。アキレス腱から膝の裏、太ももの裏まで足の裏面を気持ちよくストレッチできる形です。
膝を伸ばして前屈して足の先が掴めないと、このストレッチはうまくアキレス腱を伸ばすことができません。足の先が掴めない方はまず前記のアキレス腱ストレッチで足の裏面を柔らかくしてからお試しください。
このストレッチは最後の姿勢がとても大事です。アキレス腱からふくらはぎ、膝の裏、太ももの裏までぴ~んと伸ばすことができます。
腰を丸くしないで腰を折るようにお腹を太ももに近づけていくのが、このストレッチのコツです。左右両方行ってください。
アキレス腱をよりストレッチしたいときは手で足の指を自分に引いて踵を押し出すようにします。
太ももの付け根(坐骨周辺)をストレッチするには、上記の形をとり前屈を深めていきます。
体の方向け加減、掴んだ足首の引き加減でアキレス腱だったり膝の裏だったり、太ももの裏だったり、ストレッチしたい場所を変えることができるので、どこがどのように伸ばせるか色々と試して、自分のストレッチしたいところを伸ばせる態勢を探してください。
アキレス腱ストレッチと合わせて覚えたいツボ圧し
アキレス腱が固い、足首の血流が悪い、足の冷えが強い方などには、三陰交というアキレス腱のコリをとるツボが役に立ちます。不妊症や婦人病の治療には欠かせないツボですが、足首の疲れやアキレス腱の緊張をとるのにも重宝します。自分でも圧しやすいツボですが、とても痛かったり響きやすいツボなので心して圧してくださいね。
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アキレス腱のケアには股関節や足首のストレッチも大事
アキレス腱(腓腹筋・ヒラメ筋)に柔軟性がないと股関節や膝関節に負担をかけて膝を痛めてしまったり、その反対で股関節や膝に柔軟性がなかったり弱っているからアキレス腱や足首を痛めてしまったりします。したがってアキレス膝のケアには股関節と膝関節のケアもセットで行うのが効果的です。(特に大事なのは股関節です)
アキレス腱ストレッチと合わせてほしいストレッチ