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ストレートネックは首だけの問題ではありません。頸椎(けいつい)は胸椎と腰椎、仙骨の上にありますから、背骨全体のバランスを回復させることが大切なので、実は首だけのストレッチや施術ではあまり効果はないのです。
ご紹介する、背骨全体の柔軟性を回復できるストレッチ、張って固くなってしまった筋肉の緊張をとるツボ押し、全身の血行をよくする半身浴で、背骨のゆがみが引き起こすストレートネックや猫背、姿勢の悪さは十分に自分で改善することができます。
ストレートネックとは
ストレートネックは病気、病名ではありません。頚椎(けいつい)は横から見ると前後にカーブしているのが正常ですが、ストレートネックは首がまっすぐに歪んだ状態を示す言葉です。
正常な頸椎とストレートネック
生理的湾曲・S字カーブ
背骨の前後の湾曲を、生理的湾曲・S字カーブといいます。
何のためにS字にカーブを描いているかというと、重い頭部を支える体重や重力を分散するためです。力が背骨の一点にかかっては危ないので、きれいな湾曲を描き分散しているのですね。
ですから、なんらかの原因で生理的カーブが崩れると、力の分散がうまくいかず一点に負担がかかるようになります。
背骨と背骨の間には椎間板と呼ばれる軟骨があり、これもクッションの役割をしています。健全なS字カーブと椎間板とで私たちは多少の衝撃にも無事でいられるのですね。
上記のように頸椎がまっすぐになってしまうと、力のバランスが崩れ、首や肩の筋肉に負担が掛かり、血液の流れや神経の流れを阻害して、肩や首のこりや痛み、頭痛やめまいなどの原因になります。
また背骨は自律神経が走行しておりますので、生理的湾曲の異常は心身の恒常性を保っている機能を乱だし、様々な不定愁訴の要因となります。
S字カーブが崩れたとき
このS字カーブが崩れたときの代表的な症例は、ストレートネックと猫背です。
S字カーブの崩れが引き起こす症状
- 猫背
- ストレートネック
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 肩こり、首こり、腰痛など体を支える筋肉の問題
- 胃腸、消化器の問題
- 息苦しいなど呼吸器の問題
- 運動能力の低下
- 椎間板ヘルニアなど骨格の変性
ストレートネックの診断と治療
ストレートネックは病名ではありませんから、整形外科などではレントゲンでストレートネック(頚椎の生理的前彎の消失)が認められたら、原因となる頸椎の椎間板ヘルニアや頚椎症がないか、MRIを撮影することがあります。治療は原因となる疾患がなければ,対症療法となります。
ストレートネックの治し方のコツ
先ほどS字カーブについて書きましたが、ストレートネックの改善という意味で、頸椎という部分だけではなく、背骨全体のバランス、S字カーブを取り戻すことが大事なのですね。
特に背骨の下、腰椎と仙骨のバランスが大事なので、この部分のストレッチや施術が効果的なのです。
写真にあるように、腰椎はとても太い骨です。仙骨と腰椎、背骨全体のバランスのために、この部分が何にもまして大事なのですね。
上の二つの写真のように、ストレートネックといえど背骨の根元、お腹や腰椎周辺の問題なんですね。
写真の説明ばかりで長くなってしまいましたが、その大事な部分のストレッチ法をご紹介いたします。
ストレッチ
大事なお腹や腰のストレッチと猫背改善のストレッチ、2つをご紹介させていただきます。
腰とお腹のストレッチ
このストレッチは背骨全体の柔軟性を回復させ、正常なS字カーブに戻します。お腹の中を伸ばし、大事な腰椎と仙骨のバランスを回復させます。
腰の疲れや腰が痛いときにも、大変効果的なストレッチです。
身体の堅い人は床に手をついたまま、バランスが取れる人は膝に手を置いて行います。自分に合った段階で行い、決して無理はなさらないでください。大事なのはお腹を大きく膨らましたりへこましたりする腹式呼吸です。
腹式呼吸ができない人は、ストレッチのコツHow to 腹式呼吸をご参照ください。
身体が固い人は固いなりに、お腹を伸ばせればいいので無理はしないでくださいね。
お腹の中に緊張があると、腰が丸くなり背骨が歪んで上部の頸椎に影響を与えます。恵比寿整体院でもお腹の施術を行いますが、お腹は身体の中心、気の中心なので一番大切なんですね。
猫背のストレッチ
このストレッチは立って行いますので、オフィスなどどこでもできますね。
上記の状態で腹式呼吸を10回ほど行います。息を吐くたび、どんどん肩が柔らかくなっていきますので、腕をさらに倒していきます。
この部分の気の流れは肺経(はいけい)といい、呼吸の働き、自己表現のスジでもあります。
肺経の説明にて、寝てできる猫背解消のストレッチも解説していますので、身体と外界との交流【肺経・大腸経の働きとストレッチ】もご参考ください。
ツボ押し
はい、次は首の緊張、スジの緊張をとるツボ押しのご案内です。S字カーブが正常でないと首の筋肉や肩の筋肉に負担がかかり痛めてしまいます。
そして、更に筋肉が硬直して、ストレートネックの状態を固定化させてしまいます。首や肩のツボは比較的、自分でも押しやすいところですので、首こりや肩こりが気になる方は、ぜひ自分でのツボ押しで改善してみてください。
肩のツボ
肩こり、肩の痛みのお悩みといったら、この部分の緊張が原因であることが多くあります。
肩こりのツボとして有名な肩井(けんせい)ですが、このツボは胆経と呼ばれる気の流れにあります。胆経は肩や首の太い筋肉や腱を走行しているので、特に肩こりや肩の痛み、首こり、筋肉や腱の緊張に関連深い経絡です。
また胆経は肩や首の太い筋肉や腱を走行しているので、胆経のツボは押すと痛いという特徴があります。心して押してくださいね。
肩井は自分でも探しやすく、押しやすいツボです。肩の痛みや肩こりの時、ふと気付けばここに、自分で手を当ててることがありますよね。
身体は知っているんですね、効果的なツボやケアが必要なツボを。
ですので、ツボ押しもあまり名前や場所にとらわれず、自分の感覚を頼りに、自分で押されたいところ、押すと気持ちいいところ、痛みが変化するところなどを探って押していくのが効果的です。
ツボが見つかりましたら、5,6秒持続圧をしてください。5,6回繰り返します。
首のツボ
首のスジに痛みがあるときや、首の疲れや緊張に、ここのツボはよく効きます。
このツボも自分で押しやすいところですが、首の内側にあり、頸動脈や神経が多く走行していますので、長く押しすぎないようにします。
浅いツボですので、軽く押してもツボを押したときの独特の感覚、響きや気持ちよさ、「効くなぁ」という感覚があると思います。
胸や腕に響きがあると、気の滞りがとれ、びっくりするくらい肩が楽になりますよ。
響く場所、気持ちいい場所が見つかったら、5,6秒持続圧をして、4,5回繰り返して押します。
ツボは自分で探したり押すのに少しコツがいるかもしれませんが、正確に押せれば、これほどありがたいものはないです。自分でコリをほぐすことができるのですからね。
首こり解消のツボについてさらに詳しくは、【首こりのツボ】首の痛みや緊張をとるのに特に効くツボをご参照ください。
ツボについて詳しく知りたい人はツボ基礎知識シリーズにて、ツボの探し方、圧し方などについて学べます。
半身浴
半身浴は全身の血行させ、気の滞りを取り除きます。ストレートネック対する直接的な治し方ではありませんが、頭部の「のぼせ」や肩や首の緊張をとり全身の血行を回復させる効果があります。
特にS字カーブでご説明したお腹の緊張、うっ血をとる効果がありますので、ぜひ実践してみてください。
半身浴のやり方
半身浴のやり方ですが、簡単です。下半身だけを湯につかり温めます。みぞおちとおへその中間くらいまでお湯につかり、腕を出して入ります。高血圧、心臓に難のある人、脳梗塞など上半身の循環障害のある人、あった人にものぼせや急激に体を温めるという状態は危険ですから、半身浴はおススメです。コツは腕を出すことです。腕は上半身になりますから、腕を温めてしまってはのぼせという状態を助長します。反対にのぼせを取りたいときは、手首に水を当てたり、冷えたタオルを手首に巻いたりして手首を冷やすと、上半身や頭ののぼせが解消します。猛暑などのときは使えますね。熱いとき首に濡れタオルを巻くというのも同じことです、のぼせやすい首~頭を冷やす効果があります。
半身浴の温度
39度~40度くらいが適温とされています。42度以上の熱すぎる熱はあまり身体によろしくない(身体の深部まで熱が伝わりにくい)ので、40度くらいで20分くらい入り、長く入っているとお湯がぬるくなってきますから、最後に少し温度を上げて5分ほど入るとより効果的です。
半身浴の時間
身体の深部まで温まるのに、15分~20分は必要です。10分くらいでは身体の中が温まった実感もないと思います。20分くらい半身浴をすると、特に下腹部の中~下腿の骨の髄までぽかぽかする実感がありますよ。お風呂を出た後でも数時間温かいのが実感できると思います。長い分にはいくら長くてもいいですよ。一時間くらい入る方もいらっしゃいますね。
冷えや瘀血(おけつ)という状態が深い人は、始めは20分くらい半身浴をしても、これら身体の深部まで温まる実感が薄いと思います。いわれたとおりにやってるけど、あまり温まった実感がない…
しかし、半身浴を習慣づけている内に、冷えや瘀血という状態が改善されてきますので、諦めず続けてみてくださいね。目指せ、ぽっかぽかで肩こり解消。
生活に余裕のある方は、朝晩2回半身浴をなさるのもいいですね。忙しい人でも休日は朝にも半身浴なさると工夫して、身体を温める時間を作ってください。
冬など寒いときの半身浴
冬など寒いときはいきなり半身浴をするのは寒いので、まずお風呂に肩まで入って温まってから、上半身をタオルで拭いて(濡れてると寒いです)から半身浴なさると寒さを感じずにできると思います。最後に肩までつかるより、最初に肩まで浸かって後半に半身浴の方が効果があります。
まとめ
ツボは即効性がありますが、自分で押すには少しコツがいるかもしれませんね。何回か練習してみてくださいね。
お風呂などは毎日入るものですから、半身浴で十分に血行を良くすることは基本です。
自分に合う方法だけでもいいですし、3つとも全部やってもいいですしね(私は3つともをお勧めしますが)。
ストレートネック、首の問題といえど全身は繋がっていますし、特に背骨下部の腰椎や仙骨、お腹の緊張が頸椎に影響を与えています。
特に背骨の問題は、部分的なものではなく、背骨全体のバランス、柔軟性のなさが原因ですから、全身的な改善法をご紹介させていただきました。
お近くでしたら、三島市の恵比寿整体院でも施術を承っています。私が責任をもって担当させていただきます。