今回は鼠径部の鼠経靭帯について解説します。
問題の多い鼠径部周辺のセルフケアはこのブログでもたくさん紹介しているのですが、なにせ場所が場所だけに写真ではお見せできないところなんですね。
靭帯や筋肉、神経なども手元には解剖学の本があり皆さんにお見せしたいくらいなのですが、それもままならない…。
ということで骨格標本と私の稚拙なイラストで鼠経靭帯を解説したいと思います。
鼠経靭帯
鼠経靭帯とは、鼠径部に位置する上前腸骨棘と恥骨の上縁を結ぶ下腹部と足の境界を作る靭帯です。
初めて聞く言葉かもしれませんが、解剖学ってややこしいのです。
一つの骨にも場所によって名前がついていて、骨の上側を上縁と言ったり骨の出っ張りを棘(きょく)とか言ったりします。
このブログではできるだけわかりやすいように体や東洋医学のことをご紹介したいので、できるだけ簡単に説明していきたいと思います。
詳しく知りたい方は解剖学の学術書を当たってください。
鼠経靭帯の役目
鼠経靭帯って名前は靭帯ですけど、関節にあるような骨と骨をくっつけて関節を動かす靭帯ではありません。
腹膜のようなお腹の中を区切るような靭帯なのですが、下腹部と大腿を区切る膜のような靭帯です。
色々と重要なものが近くにある
鼠経靭帯は下腹部と足の境界ですから神経らや血管らや筋肉までたくさんのものがその上下を通っています。
だからスジのコリやなども鼠経靭帯に影響を与えますし、鼠経靭帯自体の緊張や炎症が筋肉や足の血管、神経にまで影響を与えてしまうんですね。
だから鼠径部は問題の多いところということなのです。
鼠経靭帯の下
鼠経靭帯の下には神経、大腿動脈、大腿静脈、体幹を動かす大きな筋肉である腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)などが通り、リンパ節もたくさんあります。
鼠経靭帯の上
鼠経靭帯の上は鼠経菅という管が通っていて男性では陰嚢につながっています。女性は大陰唇につながっていますが、鼠経ヘルニアの多くは腸などの一部がこの管を通って脱出するものなので男子に多いのです。
けっこうギリギリのところを大事な管が通っているんですね、だから問題も多いところなのです。
ギリギリというのは少し角度をつけて見てみるとわかりますが鼠経靭帯の下ってすごく狭いんですね、そこに大事なものがたくさん通っている。
寛骨と鼠経靭帯の隙間なんて2㎝もないような感じです。
このブログでも腰痛や股関節の問題、足の付けの問題のセルフケアのために鼠径部の下を通る腸腰筋のストレッチをおススメしていますが、腸腰筋は足を上げたり、腰を曲げたりねじったたりする筋肉でお腹の中の大きな筋肉です。
何もそんな狭いところを通らなくてもいいような気もするんですけどね。
鼠経ヘルニア(脱調)についてはまた記事を書く予定ですのでお楽しみに(?)。