鼠径部、鼠経靭帯に続き、今回は鼠経ヘルニア(脱腸)の解説ですが鼠経ヘルニアは状態によってはストレッチやツボなどのセルフケアは厳禁です。
鼠経ヘルニアが疑われる場合はまず適切な医療機関をご受診ください。
鼠経ヘルニアの方を何人か診たことがありますが、鼠経ヘルニアは東洋医学の適用外です。
もちろん冷えとりなどで血液の流れを良くしていくことはとても大事ですが、まず対症療法が必要な症状というものもあります。
鼠経ヘルニアについては専門のサイトや医療機関のサイトがありますので、詳しく鼠経ヘルニアについて知りたい方はそちらをご参考ください。
ここでは鼠径部の解説や鼠経靭帯の解説に続いて、「こんな症状もあるんだよ」程度の解説になります。
- 鼠径部ってどこ?セルフケアのコツもまとめて解説。
- 鼠径部のストレッチ
- 鼠径部の痛みや違和感に効くツボ
- 会陰(えいん)というツボってどこ?
- 鼠経靭帯
- 鼠経ヘルニア・脱腸(この記事です)
- 鼠径部のしこりのタイプ
鼠経ヘルニア(脱腸)とは?
鼠経ヘルニアは「脱腸」とも言われます。
チェキダッチョー…
いや、私は症状をお笑いにするのはいかんとも思うのですが、自分の症状を少しでも笑えることもいいとも思うのです。
そういえば、痔の専門サイトのキャッチフレーズは「痔 END」でした。
the end.
痔 end.
ど~も、下の方の症状には少しのユーモアがついてくるようですね。
で、鼠経ヘルニア=脱調ですが、脱調は読んで字のごとく腸が飛び出している状態です。
ヘルニアと言えば腰椎のヘルニアが有名ですが、ヘルニアとは「飛び出す」という意味です。
腰椎のヘルニアでは、腰椎や椎間板の変位から神経が正常な位置から飛び出してしまって神経痛が引き起る症状です。
鼠経ヘルニア、脱調は小腸や男性なら睾丸、まれに大腸が体の中を区切る膜(腹膜や鼠経靭帯など)から飛び出してしまうものです。
特に足の付け根は鼠経靭帯によりお腹と足の境界があります。
その境界を大腿動脈、大腿静脈、リンパや鼠経菅などが通っているのですが、これらの管が通る隙間からついでに腸などが出てしまうのです。
この鼠経靭帯は少し構造上無理があるところなんですね。
鼠経ヘルニア、脱調は人体の構造上の弱点の場所に起こる
これは学術的なことではなく人体の構造上、弱いところに症状がおこりやすいということをわかりやすく解説するだけですが、鼠経靭帯の隙間ってほんの数センチくらいしかないんですね。
角度をつけてみるとわかりますが、鼠経靭帯の下と骨の間は2センチもない。
自分でも鼠径部を触るとわかりますがすぐ骨が触れる部分です。
ここに大事な動脈や静脈、神経、体幹を支える腸腰筋が通っているんですね。
人体の構造上の弱点といってもいい場所なのです。
これは人間が二足歩行を始めたからなんでしょうけど、重力の負担、体の負担が強くかかる場所なのにそこまで強力な構造をしていない。
鼠経ヘルニア、脱腸の治療
昔は脱腸の手術は大変だったようですが、現在では日帰りも可能なくらいの体への負担の少ない手術が確立されているようです。
鼠経ヘルニアは出る場所により3タイプ(下・内・外)に分類されますが、そのタイプや状態により手術方法は違います。
鼠径ヘルニアは良性の病気ですが長年放置すると脱調した腸が引き締められた状態、嵌頓(かんとん)になることがあり、緊急手術が必要になる場合もあります。
鼠経ヘルニア、脱腸が疑われる場合は必ず適切な医療機関を受診してくださいね。