恵比寿整体院が贈る気の癒し・施術編。頭痛や腰痛などよくある症状への施術法を解説してきましたので、次回からは内科の問題、特に冷えや瘀血(おけつ)が引き起こす症状、不妊症や婦人病などへの施術法、施術の指針をご紹介していきます。
その前に、スジのコリが引き起こす症状は人さまざまです。よくある症状の施術法の解説では、標準的な施術法をご紹介しましたが、個性的なスジのコリが引き起こす症状に上手く対応するため、スジの痛みやスジのコリに対する施術の指針を解説したいと思います。
スジとコリ
ここでいうスジとは経絡、気の流通路のことですが、経絡が走行する筋肉を経筋(けいきん)ともいますし、経絡の走行している筋肉や腱を総称してスジと呼んでもいいと思います。
このスジを酷使して緊張が取れなくなってしまったり、張ってしまったり(実)、反対に力なく収縮してしまったり(虚)してコリが生まれます。
2つのコリのタイプ
気の過剰である実のコリはイメージ的には、団塊世代のお父さんの肩こり。比較的に健康で筋肉もたくましいような方のスジのコリです。実のコリは虚のコリに比べて改善するのも簡単。
多少、正確さにかけるツボや経絡への施術、少し力任せのような施術でも改善していきやすいコトもあります。
その反対、気の不足が引き起こす虚のコリ。これが厄介なのですが、虚とは力なく弱まっている、スジが奥まっているということです。
スジが細く固くなっているんですね。だから施術も正確にスジやツボをとらえて施術していかなければならないし、力任せのような施術は厳禁です。
そして、現代の流行は実は虚のコリなんですね。経絡、スジの状態には時代性があるのです。
高度成長期は実のコリ、実の症状が多かったと聞きます。現代は虚がトレンド。
スジやコリの状態、それこそ気の状態、これらは人間の精神の状態も代表しているのですね。
現代は(特に日本のコトですが)、皆さん気が内向している。気持ちが外に向かっていくような時代ではないですよね。
陽の時代が終って陰の時代に入ったという人もいますが、内面の豊かさを求めている時代ですよね。
だから、コリも虚のタイプが多い。
東洋医学は実の症状には寫の治療、虚の症状には補の治療が基本です。
寫(しゃ)とは移すという意味ですが、過剰な気を抜く、取り去るという意味です。鍼などは瀉法に適しています。
補(ほ)は文字通り補うという手法で、気を補う、弱っている気を元気付けるという意味です。灸などは温める補法です。
そして瀉法の後は補法で気を補うというのも基本なので、鍼と灸はセットになっているんですね。
ツボや経絡への施術が適さない場合
ツボや経絡への症状には適応症があります。大雑把に言えば慢性的なコリには最適な施術法ですが、肉体的な組織の損傷、靱帯断裂や肉離れ、骨折などの症状には不適切です。
組織の損傷には西洋医学が適任なのですが、軽度の怪我や事故など外科手術が要らない、もしくはできない場合、ほとんどの場合は保存療法しかありません。つまり安静にしているしかないんですね。
私も脱臼、亜脱臼、骨折、打撲、捻挫など一通り経験していますが、外科手術が必要な以外はシップもらって安静にしているしかありません。痛みがひどければ痛み止めが必要ですが、痛み止めで治るわけではありませんからね。
だから、組織の損傷が疑われる場合は患部への施術は厳禁です。
しかし、患部周辺のツボや経絡へ施術すると痛みなどの自覚症状は楽になることもあります。
スジには始めと終わりがあります。大体どちらかが損傷しているので、損傷していないスジの付け根のツボなどを施術していくと、損傷側の自覚症状が楽になることはよくあります。
スジのコリをほぐすコツ
スジの初めと終わり、筋肉では起始(きし)と停止(ていし)といいます。
ツボはスジの付着部、起始部と停止部に多くありますので、症状のあるスジの起始部と停止部のツボを施術していくのが、スジのコリをとるコツです。
先ほどのようにスジの損傷があるならば患部には触らず、スジの反対側の付着部のツボを施術していくのも効果的です。
ですので、個性的なスジのコリを改善するためにこの事を覚えておけば、まずスジをはっきりと捉えてその付着部のツボを探り施術していけばいいんですね。
ツボへの施術法