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今回は恥ずかしい骨…、恥骨ってどこ?の解説です。
せっかく恵比寿整体院には等身大の骨格標本があるのですから様々な角度から恥骨の場所や構造、恥骨に付着する筋肉などを解説したいと思います。
参照リンク:恥骨
恥骨は英語ではpubis。pubis hairと書けば大事なところのお毛々のコト。
恥骨のように解剖学的な場所に感情を表す言葉がついているのは珍しいです。
でも、何も「恥ずかしい」なんていかにも恥美的なネーミングにしないで、嬉しい骨とかにしても意味的にはいいかもね。
鼠径部や会陰(これはツボの名前でもあります)、そしてこの恥骨は場所が場所だけに写真などではなかなか解説しずらいところです。
恥骨は女性にとっては出産に多大な影響を及ぼす部分で、出産が近くなると恥骨が痛む「恥骨痛」や世間的には出産時に「骨盤が開く」と表現されている恥骨結合の変異やその恥骨が正常に戻らない恥骨結合離開など出産時には避けて通れない変化が起きるところです。
恥骨について調べているとイラストの説明ばかりであまり骨格標本の画像がありませんでしたので、恵比寿整体院の骨格標本のマイケル君(モデルは欧米人、だから日本人とは少し骨格が違います)に活躍していただきます。
恥骨ってどこ?
恥骨の場所はここ↓
恥骨は骨盤の骨です。
少しややこしいのですが恥骨・腸骨・坐骨をまとめて寛骨と呼び、寛骨と仙骨をまとめて骨盤と呼びます。
解剖学って分かりにくいので、まずは恥骨を含めた骨盤レクチャー。
恥骨の触診。まずは恥骨に触れてみよう。
恥骨は自分でも触診することができます。
触診の仕方は、下腹部を指で圧して少し下にずらすだけ。
人の恥骨は決して下から上に触診してはいけません。
施術の際には恥骨の場所が目安になったりするので、恥骨の場所を確かめることもあります。
また恥骨上のリンパのポイントをマッサージすることもありますが、下腹部を圧して下にずらせば恥骨は触診できます。
私はどんなにお肉のボリュームのある方でも恥骨が触診できなかったことはありませんが、あまりにもふくよかな人は恥骨の触診は難しいかもしれません。
恥骨は寛骨の一部
恥骨・腸骨・坐骨を総称して寛骨(かんこつ)といい、寛骨と仙骨(尾骨を含む)を合わせて骨盤といいます。
なんで骨盤がややこしいのかというと恥骨・腸骨・坐骨は生まれた時から成長期までは軟骨結合している別々の骨で、大人になると融合して一つの寛骨になるからなんですね。
ということで寛骨を少し解説してみると、
寛骨の大腿骨がはまって股関節を作っているくぼみを寛骨臼(かんこつきゅう)と言います。
この寛骨臼から前方下部1/5が恥骨です。
上部2/5が腸骨、
後方下部2/5が坐骨、
恥骨とは骨盤を構成する寛骨の一部分なんですね。
骨盤が作る関節の解説
恥骨の各部位
解剖学では一つの骨にも様々な名称がついています。
恥骨もまた然りで、恥骨結合や恥骨結節、恥骨稜などの部位があります。
恥骨結合
左右の恥骨の真ん中が軟骨でできた半関節の恥骨結合です。
出産時にはこの恥骨結合が開いて産道を確保するんですね。
この開いた恥骨結合が正常に戻らない、大きくずれてしまうのが恥骨結合離開です。
男性には想像できないほど出産時の母体への変化は激しいんですね。
離開とまではいかなくても出産以後に骨盤の歪みや股関節の不具合を訴える女性は多くいらっしゃいます。
では、あまり恥骨を下から仰いだことはないと思うので、恥骨をローアングルから見るとこんな感じ。
おぉ~、なんか迫力がある。
東洋医学では体の正中(ど真ん中)の気の流れを任脈督脈といい、この正中線上に会陰などのツボがあります。
なんか下から恥骨や骨盤、その上の背骨、その上の頭を見ると恥骨周辺、恥骨結合って生命的にすごい重要な部位に見えてきますね。
出産のことを思うと体のど真ん中から新たな命が誕生してくるんですね。不思議な生命の神秘を感じますが、もっと楽なところから出てくればいいのにね。
ついでにいうと奇妙な哺乳類であるカモノハシは鳥類、爬虫類、両生類と同じように「総排出口」1つで全てを済ませます。
うんこもおしっこも子供(哺乳類だけど卵)も同じ穴からするんですね、これもまた生命の神秘です。
恥骨と坐骨が作る穴、閉鎖孔
あと恥骨と坐骨が作る穴、閉鎖孔(へいさこう)というものがあります。
なんでこんなとこに穴が開いているんだか?と思いますが軽量化の為ですかね(笑)。
閉鎖孔には閉鎖神経や閉鎖筋などがあり、閉鎖孔周辺の筋肉、梨状筋や腱の緊張が坐骨神経痛のような神経痛を引き起こすこともあります。
また閉鎖孔ヘルニアというものもあり、ここから内臓が飛び出してしまう(ヘルニアとは飛び出すがその意です)症状です。
恥骨に付着する筋肉
筋肉の付着部を体幹側は起始(きし)、遠位側は停止(ていし)と呼びます。
恥骨にはいくつかの筋肉が起始を持っていますが、主なものに腹筋群、内転筋群、薄筋、恥骨筋があります。
腹筋群
俗にいう腹筋とは4つの筋肉、腹直筋・外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋のことで、この4つの筋肉は恥骨に付着しています。
従い腹筋が発達していると恥骨を引き上げて骨盤が後傾して自然と腰が立った状態になるのですが、腹筋が弱いとその恥骨を引き上げる力がなく骨盤が前傾して腰が丸くなった状態になってしまいます。
腹筋の力強さは恥骨を引き上げて骨盤を正常な位置に保持する働きですし、体幹の力強さや安定に必須の筋肉ですから、ぜひとも積極的に鍛えていただきたいところです。
内転筋群
恥骨を起始とする筋肉、太ももの内側の筋肉は主に股関節を内転させる筋肉です。
内転筋には短内転筋、長内転筋、大内転筋があります。
薄筋と恥骨筋
恥骨筋
薄筋
恥骨を起始とする筋肉のコリや緊張は鼠径部のしこりや内股のスジの痛みとして感じられるかもしれません。
各筋肉の解説にてストレッチもご紹介していますので、内股のスジがコっている方、恥骨周辺の筋肉の柔軟性を養いたい方は、各筋肉の解説をご参考ください。
まとめ
恥ずかしい骨だなんて骨の名称に感情が乗っているから、逆に親しみやすいと言えば親しみやすい骨ですね。
恥骨を起始とする筋肉も解説しましたが、股関節を内転させる力は重心や体軸を定め、気(力)を効率的に使うためには必須の動きです。
内転筋ストレッチと身体の使い方にて身体(気)の使い方やストレッチなどをまとめて解説しましたので、ご興味のある方はご参考ください。