全身への基本の手技、横臥位、伏臥位、座位、仰臥位と腹診を解説し終えましたので、ここからはツボの圧し方のご紹介です。
特に効くツボ、名付けて「特効穴(とっこうけつ)」。
鍼灸や指圧など様々な流派で、特に効くツボなどは定められていますが、鍼灸の刺激と手技療法の刺激では異なりますし効果も違います。
ここでご紹介する特効穴は、よくある症状の改善に役立つ手技療法の為のツボ達です。
私自身も臨床でよく使うツボですし、全身への基本の手技の後に症状にあわせたツボへの施術を行えば、もうそれだけで十分な改善効果が得られると思います。
特効穴1、頭のツボ
栄えある特効穴一回目は頭のツボです。
頭痛や目の症状などに最適なツボで自分でも圧しやすいし、施すのも行いやすいツボです。
まぁ、いきなりやるのもなんですから、まずは自分で自分の頭のツボを圧してみてどんな感じがするのか、場所や方向などを確認してください。
頭のツボの場所
耳の裏の付け根に骨のでっぱりがあります。乳様突起(にゅうようとっき)と言いますが自分でも触って確かめられる部位です。
この乳様突起の下に頭痛や目の症状に効くツボがあります。
ツボとは阿是穴(あぜけつ)ともいい、本来ツボとはスジがコってきたりすると現れてくるモノだと思っておいてください。
受け手は横臥位、横向きになると圧しやすいツボです。
自分でのツボの圧し方
まずは自分でこの頭のツボを圧して、どんな感じがするのか確かめてください。
何事もまずは自分で体験するのが大事です。
写真のように手をあて、拇指でツボを頭の中心に向かって5,6秒ほど持続圧をしてください。同じところを3,4回持続圧します。ここはツボが多くありますので頭の骨の際に沿って拇指を少し動かし数点違うツボを圧してみてください。とても気持ちが良いツボです。気の滞りが深い人は頭部や脳に響きます。
ツボを圧す方向が大事なので、頭の中心に向かって圧すようにします。
ツボを圧す場合の姿勢
ツボへの施術は全身への基本の手技でもそうでしたけど、基本は写真のようにつま立ちで座ります。踵をつけて自分の軸と重心をど真ん中に置きます。
丹田にある程度の力を入れて、両足(太もも)の内側を締めるようにして膝で床を踏みしめます。
足の裏もテンションをかけて張るようにすると、全身の力がシンクロして力が逃げずツボを圧す方向と力が定まります。
ツボが正確に圧すコトができるように、身体が最も効率的に力を発揮できる(伝えることのできる)気の原理に即した身体の使い方を散々とご紹介してきたのはこのためだったんですね。
ツボを圧すには、丹田や腎経の力の入れ方を体得していなければできません。
また、足首が硬くて上記の座り方ができない方は、足首を柔らかくする方法や股関節が固くて上記の座り方がきついような方は、股関節を柔らかくする方法や股関節の柔軟をご参考ください。
頭のツボへの施術法
ツボは圧す手より支える手が大事です。
ツボを圧す指や手を寫点(しゃてん)と呼び、これを補佐する指や手を補点(ほてん)と呼びます。
写真のようにツボに親指を当てたら、片手を受け手の方に当ててこれを補点として引くようにします。
補がしっかりしていると寫が生きてくるんですね、補がしっかりしているからツボを圧す方向や深さが定まるのです。
肩の手と自分の大腿の側面を受け手に当てこれを補として、親指でツボをとらえ四指を補とします。
ツボを圧す方向は頭の中心に向かって圧していきます。
このツボは目や脳に響くことがあり、目の疲れや脳の疲れ、頭部の邪気をとるのに大変有効です。