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先日、知人から「鼠径部ってどこ?」との質問をいただいたので、股関節ってどこ?に続きそのまま記事にしたいと思います。
恵比寿整体院でも鼠径部の痛みや違和感のご相談はよく頂き、股関節の問題が鼠径部に症状として現れることもよくあります。
そして、スジのコリによる痛みや違和感などはツボ療法が最適で私も股関節や鼠径部の問題の改善は得意な方です。
鼠径部の痛みや症状は、「足の付け根の痛み」「太ももの付け根の痛み」「内また(鼠径部)の痛み」と表現される方が多く、また鼠径部の問題は女性に多いのも特徴です。
今回は鼠径部とも関連の深い股関節の写真解説や股関節のセルフケアの情報も合わせて「鼠径部ってどこ?」の質問にお答えしたいと思います。
- 鼠径部ってどこ?セルフケアのコツもまとめて解説。(この記事です)
- 鼠径部のストレッチ
- 鼠径部の痛みや違和感に効くツボ
- 会陰(えいん)というツボってどこ?
- 鼠経靭帯
- 鼠経ヘルニア(脱腸)
- 鼠径部のしこりのタイプ
鼠径部ってどこ?
鼠径部ってここ↓
鼠径部(そけいぶ)とは足と体幹のつなぎ目の前方と内側を言います。残念ですが鼠径部は場所が場所なだけに写真ではご紹介できませんので、鼠径部の筋肉や股関節の構造を解説します。
写真のように股関節は球関節で、自分の股関節を動かしていただければわかりますが円を描くように自由に動かせる関節です。
特に左右に開脚するような動きで股関節を使ったとき、鼠径部のスジが伸ばされます。
股関節を動かす筋肉ってどこよ?
ついでに股関節を動かす筋肉を紹介しますが、股関節を動かす筋肉のメインは大腰筋(腸腰筋)と大腿四頭筋で、あと太ももの内側の筋肉と足の後ろ側の筋肉があります。
鼠径部に関係する筋肉は特に内転筋群です。
鼠径部の中、大腰筋(腸腰筋)ってどこ?
大腰筋は腰の骨と大腿骨をつなぐ筋肉で、体幹を軸にして足を上げる、足を動かす働きをして、足を軸にして腰を曲げる、腰を動かすなど体の中心の働きに関する重要な筋肉です。
腰痛などの腰の問題や姿勢、体幹の力強さに関する筋肉で、大腰筋の疲労や筋力不足などは、足の付け根の内側、鼠径部の(そけいぶ)の痛みや違和感として現れることが多くあります。
鼠径部前方の大腿四頭筋ってどこ?
大腿四頭筋は、一番上にある大腿直筋(だいたいちょっきん)、一番下の外側広筋(がいそくこうきん) & 内側広筋(ないそくこうきん)とそれに挟まれた中間にある中間広筋(ちゅうかんこうきん)の4つの筋肉で出来てきます。
大腿四頭筋は4本の総称で、全身の筋肉の中で最も強くて大きい筋肉です。一番頑張り屋さんの筋肉で足を上げる動きがメインです。歩く、動くために日々働いてくれている筋肉です。
太ももの筋肉痛といえば大腿四頭筋ですが、四頭筋の疲労や筋力不足は足の付け根、鼠径部の前方の痛みや違和感、コリや緊張として現れることが多くあります。
鼠径部にある内転筋群ってどこ?
内転筋群とは足を内側に絞るような動き、内転に関する筋肉の総称です。
恥骨筋、大内転筋、短内転筋、長内転筋、薄筋などに分けられますが、足の内側の筋肉だと思ってください。
足を内側に動かす筋肉ですから、雪道などで不意に転びそうになった時、ピキーンと足の内側、足の付け根の内側が張って踏ん張るところです。
転びそうになって踏ん張ったり、スポーツなどで腰を落として踏ん張るような動きでコリやすい部分です。
足の付け根の内側、会陰部の痛みや違和感、コリとして感じやすい部分です。
ハムストリングスってどこ?
足の後ろ側の筋肉で有名なハムストリングスですがこれも複数形で、ももの裏側にある・大腿二頭筋(だいたいにとうきん)・半腱様筋(はんけんようきん)・半膜様筋(はんまくようきん)を総称して呼びます。
ジャンプしたり、膝を曲げる、腰を落としたり持ち上げる働きをしますが、太ももの後ろを触ると2本の太いスジとして触ることができます。
ハムストリングスのコリや緊張は太ももの足の付け根の後ろ側の痛みやコリ、張りとして感じやすい部分です。
以上が股関節を動かすメインの筋肉ですが、やはり大事なのは腸腰筋ですね。しかし、腸腰筋はお腹の中にあり直接は触ることができません。
指圧やマッサージも直接には施術できないため、ストレッチのような運動療法でしかケアできない筋肉です。
鼠径部は足の付け根の前面のことなので、足の後ろの付け根や股関節に症状があるような方は足の付け根が痛いとき、その原因とタイプ別の治し方のコツをご参考ください。
構造的に弱点のある鼠径部
鼠径部って問題の多いところでもあります。
上記の筋肉は鼠径部に付着していますので、スジのコリなどで鼠径部に痛みや違和感がでやすいですし、鼠経ヘルニアは脱腸ともいわれますがお腹と足の境目ですので内臓の問題も起きやすい。
鼠径部には鼠経リンパ節があり、リンパの腫れによる鼠径部のしこりも起きやすいところです。
陰部にも近いので細菌やウィルスの感染しやすい部位でもありますし、鼠径部の内側は湿気の多いところでこれまた問題の多いところ。
これは鼠径部が体幹、下腹部内臓と足の境界線だからなのですね。
鼠経靭帯
鼠経靭帯は関節を作る靭帯ではなく、体の境界線を作る靭帯です。
腹部と足の境界を作る靭帯です。
この鼠経靭帯の上下に先ほど紹介した筋肉や神経や大腿動脈や大腿静脈、リンパ管や鼠経菅などが通っているのです。
特に鼠経靭帯の上の鼠経菅は男性なら睾丸につながり、この鼠経菅の隙間から脱腸しやすいのですね。
鼠経ヘルニア(脱腸)とは主に小腸、まれに大腸や睾丸がこの隙間から飛び出してしまうことです。
少し角度をつけてみるとわかりますが、鼠経靭帯の下ってすぐ骨なんですね。
隙間が少ししかない。そこをたくさんの大事なものが通っているので鼠経靭帯の緊張やコリがそこを通っている筋肉や神経、血管に影響を与えますし、そこを通る筋肉や血管の状態が鼠径部自体に症状をもたらします。
これは人間が二本足で立ったため、鼠径部に重力や自分の体の負担が強くかかっているためです。
負担は大きいのに鼠径部の作りはそれほど強くできていないんですね。
個人的にはもし鼠径部にもっと余裕があったら、足の筋力は数倍の力を発揮できたかもしれない、とも思います。
猫のように自分の何倍も飛べたりね。
血管のとおる鼠径部にもっと余裕があったら「冷え」なんてないかもしれない。
まぁ、私の妄想はいいとして鼠径部って進化した故の弱点の場所でもあるんですね。
鼠径部の痛みや違和感に効くツボってどこ?
股関節の問題や先ほどの股関節を動かす筋肉のコリや緊張は鼠径部の痛みや違和感として現れやすい特徴があります。
特に太ももの内側の筋肉は鼠径部の恥骨周辺に付着しており、鼠径部の内側ってコリやすいんですね。
そして鼠径部の痛みや違和感がスジのコリによるものなら、ツボ圧しが最適です。
鼠径部に効くツボは自分でも圧しやすく、比較的改善しやすい症状です。
[aside type="warning"] ここでいう鼠径部の痛みや違和感に効くツボとは、スジのコリや緊張をとるためのものです。鼠径部のヘルニアや事故やけがなどでの股関節や骨盤の骨折や靭帯の損傷をケアするものではありません。
組織の損傷やヘルニアなどの内臓の問題が疑われるときは適切な医療機関をご受診ください。
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鼠径部に効くツボ
鼠径部のスジのコリや違和感に効くツボは2点あります。股関節のツボとしてもご紹介していますが鼠径部の痛みや違和感の改善によく使うツボです。
本来ならば筋肉の付着部にスジのコリをとる効果的なツボがあるのですが、鼠径部周辺、恥骨周辺は直接にはスジの付着部のツボを圧すことができません。
一点はお尻の横にあり鼠径部とは離れていますが、このツボを圧すと鼠径部に響くことがあり、鼠径部のスジのコリをとるのによく使います。
もう一点は鼠径部の端、ビキニラインの端にありますがこのツボも鼠径部や太ももの内側のスジに響くことがあり、鼠径部や股関節の症状の改善によく使うツボです。
響きとはツボを正確に圧したときの独特の感覚で、コリのあるスジ沿いに響いたり、気の滞りのあるスジに響いたりします。響きとは気の滞り、邪気が取れていく証だと思ってください。
鼠径部に効くツボ・お尻の横
響くような部分、痛気持ちいいような場所が見つかったらそこがツボです。5,6秒持続圧(圧しっぱなし)して5,6回繰り返して圧してみてください。とても気持ちいいツボです。
鼠径部に効くツボ・股関節
このツボは鼠径部周辺のスジ、特に太ももの内側のスジに響くツボです。
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鼠径部のストレッチ
鼠径部のストレッチに外せないものがあります。
↓の形ですが、これは先ほどご紹介した体幹を支える腸腰筋のストレッチでもあり、腰や股関節を柔らかくする方法でもご紹介しているものです。
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このブログでご紹介しているストレッチの基本のようなものですから、鼠径部を柔らかくしたい方、力強い下半身を作りたい方は、ぜひご参考ください。
また、鼠径部の問題は腰の問題ともリンクしています。それは股関節の柔らかさ、力強さに関係する腸腰筋が股関節と腰椎を結び付けているからなのですが、腸腰筋の緊張や疲労はそのまま鼠径部の症状や腰痛の原因になってしまいます。
だから股関節や鼠径部の問題を抱えている方は、腰痛などの腰の問題も同時に抱えている方が多いんですね。
腰痛でお困りの方には、腰痛のツボや腰痛マッサージの手引きもお役に立てると思います。
手元には解剖学の本があるのですが、体の内部の写真をお見せできないのは残念です。
鼠径部が固い、鼠径部のスジがコっているような方はご紹介したツボやストレッチで大事な鼠径部をケアしてくださいね。
参考リンク:股関節を柔らかくする方法