前回の【気の癒し・基礎編 vol3】気の体に続き、今回は気の流通路である経絡の解説です。
気の流れ道である経絡(けいらく)は経穴(けいけつ・ツボ)と並び、気の癒しを学ぶ上では避けて通れない東洋医学の基本概念です。
東洋医学は気をメインに扱うわけですが、別にスピリチュアルなものではなく、超現実的。
なにせ中華思想自体がとても現実的な、政治論や治世論、食事や健康論を持っていますが、これらは風水や五行論として現実的に国を動かしていくうえで欠かせないものです。
日本の都市計画においても風水、気の流れを重視してきましたし(今でも)、エネルギーの流れって身体だけのことではなく、人の流れ、物資の流れ、権力の流れ、心の流れ、風と水の流れ、星の流れ、全ての存在が持つエネルギーの流れとして、存在するうえで欠かせないものです。
もしかしたらエネルギー自体が主体で、モノはそれに付属する鈍い存在かもしれません、肉体もね。
で、気の流れである経絡ですが、このストレッチ・ツボガイドでも経絡のストレッチや働き、経絡に関する症状のセルフケアをご紹介してきましたので、今回は経絡についてのうんぬん、まとめということで、詳しい経絡のストレッチ法や働きは各記事をご参考ください。
気の流れ・経絡とは?
経絡とは肉体に流れる気の流れ道、気の流通路です。
メインの経絡として十四経絡がありますが、ヨガでは気と似たような概念があり、気をプラーナ、プラーナの流れ道としてナーディー(脈管)がありますが、ナーディーは7万2000本あるといわれています。7万云々はこれは無数にあるという意味で数字に意味はありません。
で、ここで厄介なことをいますが、東洋思想の根底にあるのは一点に全てがある、個は全である、という概念です。
初めに気の世界は現実的である、と書きましたがこの抽象的な概念になれないと東洋医学は先には進めない…。
だから十四経絡の中の一本の経絡にもすべてに経絡がある、一つの経絡の中には他のすべての経絡もある、そんな風にとりあえず理解しておいてください。
これは心にも言えるコトです。
仏教では一心十界(いっしんじゅっかい)といいますが、一つの心にも十の世界がある。
人の心には、人の妬む地獄のような心もあり、満たされない餓鬼のような心もある、エゴという修羅の心もあり、人間の心、天国のような歓びの心もある、まぁ歓びってまだ執着の世界なんですけど、執着のない仏様のような心もある。
これが一心十界ですが、一つの世界の中にも更に十界がある。
悪人の心にも仏様のような心もあるし、仏様にも地獄のような心もある。
種着、業、カルマによって私たちはこの十界を目まぐるしく回っているのですけど、まぁ自分の心を覗いてもそうですよね。様々な心がうごめいている。
これ、理解しないと東洋医学の根底にある思想が理解できません。
from 森羅万象の分け方
治療においてもそうです、一点のツボへ施術することで全身的な気の変化がある。
一点のツボの中にも何点ものツボがある。一つの経絡に触れるとするといくつもの経絡に触れることと同じです。
そして術者のイメージによりどこに作用するかが決定する。
なんか最近の量子力学的になってくるんですね、物事って突き詰めると。
科学の最先端、量子力学で世界を説明しだすと空間や時間がとても曖昧。
そもそも一点からビッグバンでスタートした宇宙、空間と時間ですし。
宇宙開闢のエネルギーと私たちのエネルギーは同じ、ルーツは一点ともいえます。だから気っていう概念はとても便利。
こういう形而上的な思考になれないと、気の世界も深いところがわかりません。
正解はないかもしれませんが、想像力や創造力を養うためにも、世界の不思議に目を向けてみるのも必要です。
気や経絡はそういう世界です。科学的に計測できるのは存在の影でしかないような気もします。
十四経絡
なんとなくでいいんです、気や経絡への理解は。論理的には理解しえない領域ですから。
で、メインとされる経絡は十四本あります。
6系統12本とメインの任脈督脈2本を合わせて14経絡です。走行する場所としては、
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・肺経・大腸経=外界との境、表面
・胃経・脾経=からだの前面、筋肉
・腎経・膀胱系=からだの中心
・肝経・胆経=からだの側面、太い腱
・心包経・三焦経=からだの角ばっているところ
・心経・小腸経=手足の内部
・任脈・督脈=体の正中の前後
[/aside]
経絡は、その機能と走行する場所として把握すると理解しやすいです。
肺・大腸経は呼吸排泄の機能、外界と内界の交流を司りますから、皮膚の表面、からだの外面を走行していますし、肝経胆経は意志力とも関係しています、右か左を選ぶのもからだ側面を流れる胆経の機能です、肝経はからだを動かす太い腱を走行しています。
モノではなく機能で見ると理解しやすいのが経絡ですね。
経絡の働きの認識
経絡は機能、エネルギーの働きで観ると認識しやすいのですが、存在には基本的な働きがあります。
自分を支える土台となる働き(腎経)、防衛の働き(三焦経)、貯蔵の働き(肝経)など、東洋医学の古典では経絡を政治的に解説しています。
一つの国、会社として存在するためには、防衛庁や大蔵省、運輸省、など基本的な働きをする省庁や部署が必要ですもんね。
だから体の機能、会社や国の根本的な機能は同じです。ここでもまた同心円が出てきますよね。
だから胃経は胃などの消化器の働きとともに、食物を得るために歩く、手に取る、口まで運ぶ、噛むという働きも含みます。
(だから手足の主な筋肉や首の咀嚼筋に胃経が走行しています)
こんな感じで経絡の働きで理解すると、走行する場所なども理解しやすいハズです。
経絡の虚実
虚実とはエネルギーの不足と過剰、エネルギーのバランスのことです。
虚(きょ)が不足で実(じつ)が過剰ね。
さっきの政治的な感じで説明すれば、防衛庁が弱かったらいかんし、大蔵省だけ肥大してもいかんのね。
全体のバランスが大事だってことですけど。
体も食べ過ぎていてばかりだったら、消化器がいかんし、大気汚染が進んで呼吸器に負担がかかりすぎたらいかんし、ストレスだらけでいつも身を守らなければならない状態だったら、そりゃ心身ボロボロになるし。
ほんでもってバランスって固定していないのね。これまたややこしいのですけど。
エネルギーですから、とどまることはありません。変化し続けること、流れ続けることでバランスをとれている、と理解してください。
生命ってそうですよね、変化し続けることで安定している。
どこかが滞ったら、全体のバランスが崩れる。
だから経絡の虚実は常にあるのですけど、その虚実が固定されてしまったとき、全体のバランスが崩れ、目に見えた症状が出てくるともいえます。
経絡とツボ
ツボは経穴(けいけつ)といいます。ツボについてはなぜ存在するのかよくわかりませんが、経絡上にある特異点、気が滞ったときに役立つ点、気の滞りを解消できる点、気の虚実を回復できる点、コリをとる点、として理解しておいてください。
存在の理由なんて何もわからんのね、こういう症状にはこのツボが効く、このような症状にはこのような治療法が効果的、という東洋医学は古来からの経験医学です。もちろん迷信じみたことも少なくはありませんが、長年の積み重ねですから、様々なケースバイケース、個性を重視した治療、状態の診断と治療法に長けているのです。
さらに詳しい経絡の働きとストレッチ法
かなり曖昧に経絡について説明してきましたが、現実的な経絡の働き、各経絡のストレッチ法は各記事をご参考ください。
まず十四経絡すべてのストレッチと働きをまとめてあります。
ストレッチも順番道理に行っていただければ、十四経絡すべてストレッチできるように解説しています。
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各経絡の詳しい働きについては、下記をご参考ください。