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お尻ストレッチとほぐし方のコツの解説です。
お尻の筋肉は分厚く層をなしていて、大きい血管からも遠く冷えやすいスジであり、ストレッチも行いにくい部位です。
ほぐしにくいお尻の筋肉をストレッチするコツとやり方をご紹介しますので、お尻がコっている、お尻をほぐしたい方、お尻のスジを柔らかくしたい方はぜひ実践してみてください。
お尻のように身体の部位を丁寧に言い表せるのは日本語のいいところですね。
解剖学ではお尻は臀部(でんぶ)といい、殿部とも書きます。
英語ではHipですが、やはり「お尻」がしっくりくる。もしくは「おしり」と平仮名で書くと妙に愛着がわくのも日本語のいいところ。
私はお尻フェチではありませんが、お尻ストレッチ・お尻のほぐし方について理解が深まるよう、お尻やお尻の筋肉を解剖学的にも解説していきたいと思います。
解剖学的なことがめんどくさい方はそのようなところは飛ばして、お尻ストレッチのやり方やお尻のほぐし方をご参考ください。
お尻の骨
お尻というのは骨盤の後面の部分ですが、骨盤というのは意外と皆さん知らないハズ。
意外と知らない骨盤事情
恥骨・腸骨・坐骨は子供のころは別々の骨ですが、大人になり融合して一つの寛骨となります。
お尻の筋肉は腸骨や坐骨、仙骨に付着するものがほとんどです。
坐骨周辺のスジがねぇ、なにかとコリやすいんですね。
冷えやすいお尻の筋肉
お尻って冷えやすいんですね、お肉が豊かな方はなおさら冷えやすい。
お尻の筋肉が分厚く層をなしているという理由もありますし、骨盤の中には大きな血管も走行していますが、骨盤の後面には大きな血管が走行していないためお尻が冷えやすいということもあります。
冷えるということは筋肉が緊張して萎縮してしまっているということですから、コリやすい部位とも言えますね、お尻の筋肉は。
また後述するようにお尻の筋肉(小殿筋・中殿筋・大殿筋・梨状筋)などは股関節を動かす筋肉で歩くという日常の動きに欠かせない筋肉で負担も大きいためコリやすいとも言えます。
お尻の奥の筋肉が緊張して萎縮してしまう(コってしまう)と坐骨神経などを刺激して神経痛を引き起こしたりもしますので、ご紹介するお尻ストレッチやお尻のほぐし方で十分にケアしてほしい部位なのです。
お尻の筋肉
お尻の筋肉はそう多くはないので、深層から並べてみるとこんな感じ↓
- 深層外旋六筋(梨状筋など)
- 小殿筋
- 中殿筋
- 大殿筋
お尻の表面の筋肉は大殿筋で、単体であれば人体で一番大きい筋肉です。
(複合的な筋肉なら4つの筋肉の総称である大腿四頭筋)
また太ももの後ろの筋肉、ハムストリングスも坐骨に付着するのでお尻の筋肉とも言えますが今回は割愛させていただきます。
割愛させていただきますが、前屈して床に手がつかないような方は明らかにハムストリングスの柔軟性不足です。
お尻と足の付け根のストレッチも後で解説しますが、ハムストリングスの柔軟性不足も坐骨周辺のコリや神経痛などを引き起こしますから、太ももの後面を柔らかくしたい方はハムストリングスストレッチとほぐし方をご参考ください。
お尻の深層の筋肉
お尻の奥には深層外旋六筋という6つの筋肉があります。
6つとは梨状筋・上双子筋・下双子筋・外閉鎖筋・内閉鎖筋・大腿方形筋で、外旋とは股関節を外に開く動きのことです。
深層外旋六筋とはお尻の奥にある股関節を外旋させる6つの筋肉という意味ですね。
で、なんでかその中の梨状筋だけがやけに有名なのです。
他の六筋もそうなのですが、梨状筋の緊張が坐骨神経痛などを引き起こすため、梨状筋ストレッチや梨状筋のほぐし方などが有名なのですね。
お尻の奥の梨状筋は緊張して固くなってくると神経を圧迫して坐骨神経痛のような痛みを引き起こすことがあります。
梨状筋症候群と言われるものですが、このようなスジのコリによる症状は今回のお尻ストレッチやお尻のほぐし方で柔軟性を回復させることが大事です。
お尻の殿筋
殿筋とは3つあり、下から小殿筋・中殿筋・大殿筋です。
このように分厚い筋肉が層をなしているために冷えやすいんですね、お尻の表面って。
お尻の奥の小臀筋
殿筋の一番下、お尻の奥の小殿筋は主に股関節を外転させる筋肉で、下肢の働きを最大限に生かすためにはこの筋肉が十分に発達している必要があります。
お尻の中間の中殿筋
お尻の中間の中殿筋は小殿筋とともに歩行中に働き、中殿筋や小殿筋が弱いと肩が左右に揺れるような歩行(トレンデレンブルグ歩行)、体軸や重心が安定しない歩行になってしまいます。
お尻の表面の大殿筋
お尻の表面の大殿筋は歩行にはあまり使われませんが、歩く以上に股関節を伸展させるときに働く筋肉です。
お尻ストレッチ
では、お尻ストレッチ実践編。
お尻ストレッチの注意点とコツとお尻ストレッチを簡単なものから順に紹介していきますので、ご自身にあったお尻ストレッチを行ってみてください。
お尻ストレッチの注意点
お尻の筋肉は主に股関節を動かす筋肉で、その働きの反対の動きでストレッチすることができます。
ご紹介するお尻ストレッチも股関節を大きく動かすので、股関節に異常がある方(脱臼癖や人工関節、股関節の変位など)はお控えください。
またお尻ストレッチを簡単なモノから順にご紹介していきますが、中にはある程度股関節が柔らかくないとできないお尻ストレッチもあります。
股関節が固い、足首が固くてご紹介するお尻ストレッチがうまくできない方は無理に行う必要はありませんので、まずは股関節ストレッチや足首ストレッチで柔軟性を養ってからご紹介するお尻ストレッチを行ってください。
お尻ストレッチのコツ
お尻ストレッチに限らず、ストレッチのコツは呼吸にあります。
ご紹介するお尻ストレッチの姿勢をとり、深く呼吸をすると息を吸うたびにお尻のスジがよりストレッチされ、息を吐くたびに全身の力が抜けるのが実感できると思います。
力任せに行ったり、呼吸が止まるようなやり方ではストレッチの効果は得られませんので、先に深い呼吸のやり方をご紹介します。
完全呼吸、腹式呼吸は苦手な方も多いと思いますので、少し呼吸の練習をしてみましょう。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
深い呼吸が苦手な人は、ストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
背骨を伸ばすように息を吸うだけでも背骨が気持ちよくストレッチできますよ。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜くと、ストレッチしているスジが息を吸うたびに更にストレッチされます。
ご紹介するお尻ストレッチの形をとり、この完全呼吸をすることを心がけてください。
更に詳しくはストレッチ効果を高める完全呼吸をご参考ください。
ご紹介するストレッチはこの完全呼吸を使い反動をつけずにゆっくりとした動きで行ってください。
反動をつけたり無理矢理力任せにストレッチを行っても筋肉やスジを緩める効果はありませんし、スジを痛めてしまう原因にもなりかねません。
仰向けで行うお尻ストレッチ
では、まず簡単なお尻ストレッチのご紹介。
比較的、股関節が固い方でもできるお尻ストレッチです。
簡単なお尻ストレッチのやり方
この姿勢で完全呼吸を行い、背骨や体全体が伸びるように息を吸うとお尻の奥のスジが更にストレッチされるのを感じられるハズです。
徐々にストレッチを深めながら完全呼吸を10回ほど行ってください。
更に仰向けのお尻ストレッチを深めたいならば、体幹をねじるとお尻ストレッチが深まります。
体幹をねじるお尻ストレッチのやり方
上記のお尻ストレッチは上半身をストレッチする方向と反対側に向けるのがコツです。
股関節が柔らかい人のお尻ストレッチ
股関節がある程度柔らかい方はお尻のスジも柔らかいので上記のお尻ストレッチでは物足りないハズ。
そのような方には、特に梨状筋などのお尻の奥をストレッチできる形があります。
ストレッチのやり方
このお尻ストレッチは深層外旋六筋(梨状筋)とともに大腿筋膜張筋ストレッチにもなる形ですが、上記のお尻ストレッチはある程度、股関節が柔らかくないとできないので決して無理をして行わないでくださいね。
足が組める人のお尻ストレッチ
更に足を組んで胡坐ができる人のお尻ストレッチもあります。
ストレッチのやり方
お尻や足首を深くストレッチできる形ですが、太ももからすねの足の側面の筋肉が気持ちよくストレッチできる形です。
足首を柔らかくするストレッチ、すねのストレッチとしてもご紹介している形ですが、足首がある程度柔らかくないと足を組めないので、足が組めない方はこのお尻ストレッチは無かったコトにしましょう(笑)。
お尻と足の付け根のストレッチ
お尻の奥や殿筋をストレッチするにはご紹介したお尻ストレッチで十分だと思いますが、お尻と足の付け根周辺のスジもまたコリやすいスジです。
お尻の足の付け根、坐骨にはハムストリングスが付着していて、立って前屈して床に手がつかない方、床で前屈して足の指をつかめないような方は明らかにハムストリングスの柔軟性不足です。
特にハムストリングスやお尻と足の付け根をストレッチできる形があるのでご紹介させていただきます。
ストレッチのやり方
このお尻ストレッチは左右別々に行います。
踵を押し出すようにするとよりアキレス腱のストレッチになり、背骨を伸ばしてから前屈していくとより後面の太ももの付け根がストレッチできます。膝裏を伸ばすように行うと膝裏の膝窩筋のストレッチになります。
今回はお尻の足の付け根をストレッチしたいので、腰を伸ばしお腹を太ももに近づけていくようにするとお尻の坐骨周辺がうまくストレッチできると思います。
お尻のほぐし方
ご紹介したお尻ストレッチで十分にお尻をほぐすことができると思いますが、スジがコっている、スジが固くなっているときにはツボが大変お役に立てると思います。
また、お尻の筋肉は分厚く層をなしているので冷えやすいスジです、半身浴などで下半身を温めることも大事です。
お尻をほぐすツボ
自分でも圧しやすいお尻のツボがあります。
特に中殿筋や大殿筋などお尻の横のスジのコリを取るのに役立つツボです。
立っていても圧せますが、床に横向きに寝ると表面のスジが緩んで、より深いツボを探すことができます。
横向きに寝て下、床に向かって圧していくのがコツです。
響くようなところを10秒ほど持続圧(圧しっぱなし)し、5,6回繰り返して圧してください。
お尻の横のスジがコっている、張っているときにとても効果的なツボです。
何はなくとも半身浴
先述したようにお尻の筋肉は分厚く層をなしているので、特に冷えやすいんですね。
ご紹介したお尻ストレッチでも血液の流れを良くすることができますが、より手っ取り早くお尻の筋肉を温めるには半身浴がベストです。
半身浴は全身の気の滞りを取り、身体全体をほぐす、体全体を柔らかくするのにとても有効ですので、ぜひ今日から実践してみてください。
半身浴のやり方:
- お湯はみぞおちくらいまで、心臓は温めません。
- 下半身だけ温めたいので、腕は必ず出して入ります。
- お湯の温度は39~40度くらい、熱すぎはいけません。
- お腹の中が温まるまで20分は入ります。長い分にはいくら長く入っても良いです。
- 工夫して半身浴を楽しみましょう。
さらに詳しくは体をほぐす半身浴のやり方をご参照ください。
お尻のほぐし方・施術編
自分ではお尻の奥の方のスジは圧しにくいのでお尻の横のツボだけご紹介しましたが、施術するならばお尻のスジは肘で行なうとほぐしやすいです。
施術家さんたちにはお尻をほぐすツボへの施術法などがお役に立てると思います。
まとめ
お気に召したお尻ストレッチやお尻をほぐす方法はありましたか?
お尻は意外と自分でもセルフケアしやすい部位です。
お尻のツボは圧すのにコツが要るかもしれませんが、半身浴などは簡単にできるし、半身浴の後にご紹介したお尻ストレッチを行っていただければ、より安全に効果的にお尻をほぐすことができます。
座りっぱなしのデスクワークの方などはお尻のスジがコリ固まっている方が多いので、ツボや経絡の専門家の施術を受けてみるのもいいかと思います。