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内転筋ストレッチのやり方とコツの解説です。
股関節を内転させる内転筋群には実は身体を効率的に、力を無駄なく使うための大事な役割があります。
股関節を内転する力があるからこそ重心や体軸が安定して、力(気)を効率的に使うことができるんですね。
内転筋ストレッチとともに、気の原理に即した身体の使い方、効率的に力を使うためのコツをご紹介したいと思います。
股関節の内転筋には、短内転筋、長内転筋、大内転筋、恥骨筋、薄筋などがあり、ともに恥骨から始まり太ももの内側を走行する筋肉です。
内転筋は両足の大腿をお互いに引き付けるときに強く働きますが、日常ではあまり使われない動きなので、この筋肉を積極的に使う必要があります。
また、内転筋の太ももを内側に絞り込むような動き、動かなくても内転方向に力が入っている状態というのは、下半身を安定させて力強い下半身の動きをするためには必須の働きです。
今回は内転筋ストレッチのやり方だけでなく、力を効率的に使うための原理や気の働き、重心や体軸の安定のさせ方もご紹介しますので、ぜひ力強い体の使い方を覚えてください。
ストレッチ基礎知識
内転筋とは?
内転筋と名前がつくものには、短内転筋・長内転筋・大内転筋がありますが、股関節を内転させる内転筋群としてはそれに恥骨筋と薄筋が加わります。
筋肉には付着部(起始と停止)があり、筋肉固有の働きがあります。筋肉の付着部や働きを知っていればストレッチも行いやすいので、内転筋群の機能解剖的なこともご紹介しますが、解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばして内転筋ストレッチのやり方をご参考ください。
股関節の内転とは?
太ももを内側に動かす動きを股関節の内転と言います。
筋肉はその反対の動きでストレッチできるので、股関節の外転(外に動かす動き)で内転筋ストレッチができます。
3つの内転筋
内転筋と名がつくものには、短内転筋・長内転筋・大内転筋があります。
短内転筋と長内転筋は太ももの内側、大内転筋は太ももの後方です。
各筋肉の詳細な機能解剖は各筋肉のストレッチにて解説しています。
その他の股関節を内転させる筋肉
3つの内転筋の他に、長内転筋の上に恥骨筋、また膝を曲げる補助もする薄筋があります。
この5つの内転筋群は全て恥骨を起始としています。
薄筋だけが膝下の脛骨に停止しているため膝を曲げる動きに関わりますが、他の4つの筋肉は大腿骨に停止しています。
股関節と気の使い方
足を内側に絞るような動き、足が動かなくても足の内側に力が入っている状態、このような内転筋を使う動作は力強い下半身の動きをする上でとても重要なのです。
両足の内側に力が入っているからこそ重心と体軸が安定して、力を効率的に伝えることができるのです。
体軸と重心の安定のさせ方
体軸と重心が安定していなければ、身体は方向性を持った力が発揮できません。
体軸と重心が安定しているから、身体は方向性を持った力(気)を無駄なく伝えることができるんですね。
上記の姿勢はただ膝と股関節を曲げているのではなく、内転筋に力を入れ足を踏み込んでいるという状態です。
常に地面を踏み込めているから即座に次の動作ができるのです、ただ膝を曲げているだけでは即座には動けないんですね。
上記のような踏み込んでいる状態を作るには、膝ではなく股関節を積極的に曲げることです。
重心は身体の重さの中心点ですが、東洋医学では丹田(たんでん)というお腹の中の気の中心点を重要視します。
実際に丹田から力(気)が伝わり、体軸も丹田の延長上にあるのです。
股関節を曲げるようにして丹田を落とす、このような動きは実は武道や舞踊などの芸能でも基本の動きです。
東洋的な芸能や武道では丹田を中心に身体を動かす、力を伝える、ということを積極的に修練するんですね。
股関節を曲げ丹田を落とす動きというのは、意識しなくても太ももの内側の内転筋を使います。
股関節を曲げて両足を内側に絞るような動き、この力のこもった動き、姿勢には内転筋の力強さや柔軟性が必要です。
腰を切るという動き
ついでに力(気)の使い方講座(笑)
ゴルフのスウィングや野球のバッティングのような腰を切る動きって、一番力を発揮できる動きなんですね。
殺陣もそうです、自分で切りにいかないで向かってくるところを引いて切る。
この動きはとても重要で、動作のカッコよさにも関係してきます。(動きがかっこいいとは無駄な動きがなく美しいということです。)
上記の動作はつなげれば、半分引いてまた半分引いてと円を描くように無限に行うことができます。
更に強い力を出したいなら、上記の回転に丹田を落とす動きをプラスすれば、スパイラルの動きになる。
らせんを描く動き、スパイラルの動きこそ身体の最大の力を発揮する原理ですが、人間の身体の動きだけでなくあらゆるものはらせんを描いて動いているからこそ安定しているのだとも言えます。
身体の使い方、気の使い方(力の使い方)にはいくつかの原理があり、その原理には内転筋の力も意外と影響しているのです。ご興味のある方は、この内転筋ストレッチと合わせて気の原理や気を鍛える方法もご参考ください。
内転筋ストレッチ
では、内転筋ストレッチ実践編。
自分で行う内転筋ストレッチを3つと補助付きの内転筋ストレッチもご紹介いたします。
ウォーミングアップに最適な立って行う内転筋ストレッチ
まず立って行える内転筋ストレッチです。
上記の内転筋ストレッチはよく野球選手などが行うのを見かけますね、コツは膝と股関節を90度に曲げストレッチする足と反対の方向に上半身をねじることです。
両足開脚の内転筋ストレッチ
両足を最大限に開脚しても内転筋ストレッチができます。
上記の姿勢だけでも十分に内転筋がストレッチできますが、股関節が比較的柔らかい方はそのまま前屈しても気持ちいいと思います。
足を合わせて行う内転筋ストレッチ
また上記の姿勢が取れない方には、座って足の裏を合わせて行う内転筋ストレッチもあります。
上記のストレッチは心経・小腸経という気の流れ(経絡)をストレッチする形です。
小腸経は血管を司るので、上記のストレッチをしていると小腸経のスジが気持ちよく伸ばされ下肢の血行が良くなって足が暖かくなってくるということもあります。
経絡には個別の反応があるのが面白いところです。
経絡について知りたい方は、心経・小腸経の働きとストレッチをご参考ください。
補助付きの内転筋ストレッチ
恵比寿整体院では施術前に経絡を伸ばす経絡ストレッチを行っています。
上記の内転筋ストレッチの補助ですが、ゆるみをとるように補助していくととても深くストレッチを深めることができます。
開脚の内転筋ストレッチの補助
上記のストレッチは肝経・胆経という経絡のストレッチですが、肝経は太ももの内側を走行しています。
術者は受け手の太ももに手を当て足先に向かってゆるみをとっていきます。
ゆるみを取るとは圧すのと皮膚がずれるとの中間です。45度の方向に圧していく感じですね。
太ももと腕の付け根に手を当て45度の角度に圧してゆるみを取っていきます。
足を合わせて行う内転筋ストレッチの補助
先ほどの足の裏をつける内転筋ストレッチですが、術者は肩甲骨と肩甲骨の間の背骨に片手を当て、片手は腰椎と仙骨の境に当てます。
これも両手を45度の角度に圧していき、ゆるみを取っていきます。
まとめ
ご紹介した通り、内転筋のような太ももの内側って力強い体の動きをするには重要なところなのです。
ご紹介した内転筋ストレッチで力強い、柔軟性のある内転筋を養ってくださいね。
補助付きのストレッチは「ゆるみを取る」というのが説明しにくかったのですが、相手の身体に手を当てて横にずらすと皮膚がずれます、垂直に圧すのと皮膚がずれる中間の方向、45度くらいの方向に圧していくということです。