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今回は首を大きく動かす筋肉である胸鎖乳突筋ストレッチの解説です。
首(頸椎)を動かす大きな筋肉には胸鎖乳突筋や板状筋などがあります。
他にも首を動かす小さい筋肉はたくさんあり、首には舌骨を動かす筋肉、喉を動かす発声や嚥下、咀嚼に関与する筋肉も沢山あります。
これらの筋肉は小さく、ごく小さな動きに関与する筋肉なのでその全てのストレッチはご紹介しきれません。
首を動かす大きな筋肉のストレッチとして、今回の胸鎖乳突筋ストレッチ、次回の板状筋ストレッチだけご紹介させていただきます。
胸鎖乳突筋はこりやすく、寝違いなども起こしやすい筋肉です。
ツボも胸鎖乳突筋の際にたくさん存在していて、私も施術ではよく胸鎖乳突筋を施術します。
胸鎖乳突筋ストレッチのやり方とともに胸鎖乳突筋の機能解剖、自分でコリをほぐす方法もご紹介しますので、解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばしてストレッチやコリのほぐし方をご参考ください。
胸鎖乳突筋
胸鎖乳突筋とは内頸部(首の内側)の筋肉で、側頭骨の乳様突起(にゅうようとっき)から鎖骨と胸骨に付着する筋肉です。
ん~、胸鎖乳突筋はいかにもコリやすそうな筋肉ですね。
コリやすい首のスジ
ここがねぇ、こるんですね。
なにせ人間の頭って重いんです。頭部は成人で約5Kg、体重比で約10%ほどと言われています。
50キロの人で5キロあるんですね、頭って。
胸鎖乳突筋はそんな重い頭を動かす筋肉なので、そりゃ負担がかかりますよね。
頭の重さは脳が発達した故の重さですので、首こりや肩こりは人間の宿命なのですね。
首に負担をかけない枕
首のコリのお話ついでにおススメの枕のご紹介。
普通、こういう紹介は最後にして商品を買っていただくのでしょうが、私の目的は商売でなくて健康に役立つ情報提示であるので順番に関係なくお役に立てる情報が伝わればいいのです。
人間の背骨は生理的湾曲と言って自然なカーブを描いていて、この湾曲をS字カーブとも言います。
ですので、就寝時にここを上手く支えてくれる枕でないと首への負担が大きいんですね。
で、その生理的湾曲を支えてくれる枕がコレ。
仰向けでも横向けでも自然に首と頭を支えてくれる形ですので本当に楽に寝れます。
まったくもって胸鎖乳突筋に優しい枕なんですね(笑)。
仰向けでも最高の寝心地ですが、私は横向きで寝るのがデフォルトなのでこの形の枕しか体が受け付けない(笑)。
治療院用の高田ベッドという会社のものですが、整体院や治療院の枕やベッドはほとんど高田ベッドのものです。
この枕は施術時も使っていますが、お客さんからは「その枕を売ってくれ」とか「卸しで売ってくれませんか?」言われて昔は一般的には売ってなかったのですが、今ではAmazonから買えるようになっています。
おススメの枕として↓でレビューしていてAmazonから買えるようにしてありますので、ご興味のある方はご参考ください。
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胸鎖乳突筋の付着部
では、話を戻して胸鎖乳突筋の機能解剖を少し。
筋肉には付着部があり、体幹側の付着部を起始(きし)、遠位側の付着部を停止(ていし)と呼びます。
胸鎖乳突筋の起始:
鎖骨近位部、胸骨柄
胸鎖乳突筋の停止:
側頭骨の乳様突起
胸鎖乳突筋の神経支配:
副神経、頚神経叢の筋枝(Cr11、C2-3)
胸鎖乳突筋の起始
胸鎖乳突筋には起始が2つあります。
胸鎖乳突筋が起始を持つ胸骨は上部を胸骨柄、中部を胸骨体、下部の尖ったところを剣状突起と言い、胸鎖乳突筋は胸骨柄に付着します。
胸鎖乳突筋が停止する鎖骨は肩甲骨とともに肩甲帯を形作り、肩甲骨の動きに関与する骨です。
胸鎖乳突筋の停止
胸鎖乳突筋が付着する乳様突起は字の通りお乳の様な出っ張りです。
乳様突起に付着する筋肉にはこの胸鎖乳突筋の他に、板状筋(頭板状筋)や脊柱起立筋(最長筋)などがあります。
乳様突起に付着する筋肉:
- 胸鎖乳突筋ストレッチ
- 頭板状筋ストレッチ
- 最長筋ストレッチ(執筆予定)
胸鎖乳突筋の触診
胸鎖乳突筋は簡単に触診できます。
先ほどのようにもつかめるし、触診する側の反対へ首を回せば更に胸鎖乳突筋が分かりやすくなります。
胸鎖乳突筋の働き
胸鎖乳突筋の働きは主に3つあります。
首(頸椎)の屈曲、側屈、回旋ですが、回旋は収縮する胸鎖乳突筋の反対方向になります。
胸鎖乳突筋の働き:
両側:頸椎の屈曲
右側:頸椎の右側屈、左回旋
左側:頸椎の左側屈、右回旋
頸椎の屈曲
左右の胸鎖乳突筋が収縮すると頸椎の屈曲が生じます。
頸椎を屈曲させる筋肉
- 胸鎖乳突筋
- 上斜線筋
- 下斜線筋
- 垂直線筋
頸椎の側屈
片側の胸鎖乳突筋が収縮すると同じ側へ頸椎が側屈します。
頸椎を側屈させる筋肉:
- 胸鎖乳突筋
- 板状筋
- 上頭斜筋
頸椎の回旋
首を回す方向の胸鎖乳突筋が収縮するのではなく、首を回す反対側の胸鎖乳突筋が収縮して首を回旋させます。
頸椎を回旋させる筋肉:
- 胸鎖乳突筋
- 板状筋
- 大後頭頂筋
- 下頭斜筋
- 頭半棘筋
胸鎖乳突筋ストレッチ
胸鎖乳突筋はその働きの反対の動きでストレッチできます。
頸椎の伸展、側屈、回旋で胸鎖乳突筋ストレッチができますが、頸椎の動きには限界があるため頸椎の屈曲では少しのストレッチにしかなりません。
頸椎は無理にストレッチを行うと首筋を痛め兼ねませんから、今回は深いストレッチはご紹介せず簡単な胸鎖乳突筋ストレッチをご紹介します。
右側の胸鎖乳突筋ストレッチ
特に右側の胸鎖乳突筋をストレッチするには、首を左に側屈したまま右に回旋させます。
左側の胸鎖乳突筋ストレッチ
左の胸鎖乳突筋ストレッチはこの反対、右側屈と左回旋で行えます。
側屈とねじるストレッチ
胸鎖乳突筋ストレッチとして頸部だけのストレッチをご紹介しましたが身体はつながっているもの。
更に首を側屈、回旋させようとすると体幹や下半身まで動く全身運動に必ずなり、特に首を完全に回旋させようとすると、下半身は反対にねじれるような動きになります。
体幹から頸部まで側屈させたり、ねじるストレッチでも胸鎖乳突筋ストレッチができます。
全身的なストレッチをしたい方は、体幹の側屈ストレッチやねじるストレッチがお役に立てると思います。
頸椎のストレッチ
胸鎖乳突筋ストレッチは頸椎の側屈と回旋でできますが、頸椎のストレッチにはあと屈曲があります。
頸椎ストレッチにて屈曲と伸展、2つのストレッチを解説しているのでご興味のある方はご参考ください。
補助付きの胸鎖乳突筋ストレッチ
胸鎖乳突筋ストレッチは補助付きでもできます。
恵比寿整体院では施術前に経絡ストレッチという補助付きのストレッチを行っていますが、特に胸鎖乳突筋の側屈と回旋ストレッチの補助する形があります。
上記のように側屈を補助して更に受け手に天井を向くようにしてもらうと頸椎の回旋になります。
補助があるととても深くストレッチが行えますので、施術家さんたちの経絡ストレッチの補助がお役に立てると思います。
胸鎖乳突筋をほぐす方法
胸鎖乳突筋ストレッチをご紹介してきましたが、胸鎖乳突筋は自分でも触りやすいため自分でほぐすことが容易です。
自分でコリをほぐす方法
胸鎖乳突筋のスジ沿いにツボが2点あり、胸鎖乳突筋のコリや緊張をほぐすのにとても有効です。
2点とも圧しやすいツボですので、胸鎖乳突筋がコっているときや緊張が抜けないときにお試しください。
自分ではダメージを与えるほど強くは圧せないので問題はないと思いますが、内頸部は頸動脈があるのでしっかりスジをとらえて圧すのがコツです。
胸鎖乳突筋への施術法・簡易整体
施術家さんたちには、胸鎖乳突筋のツボへの施術法やとても簡単に胸鎖乳突筋などの首の筋のコリをとる簡易整体などがお役に立てると思います。
頸部への施術に関しては決して頸動脈を圧迫しないように心して施術を行ってください。
ツボへの施術は胸鎖乳突筋のツボへの施術法をご参考ください。
胸鎖乳突筋のツボへの施術法:
ここでは胸鎖乳突筋などの首の筋のコリをとる簡易整体をご紹介させていただきます。
テキストだと長くなるので、詳細は胸鎖乳突筋をほぐす簡易整体をご覧いただくとして動画で解説しておきます。
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動画って解説に便利ですねぇ、これからも動画解説を増やしていきたいと思います。
まとめ
胸鎖乳突筋を含む首のスジはお悩みの多い部位で、私も施術による改善が得意な部位です。
胸鎖乳突筋のコリや首の問題がある人はツボや経絡の専門家、整体や指圧などを受けてみるのもいいと思います。