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ハムストリングスを構成する大腿二頭筋ストレッチの解説です。
膝を伸ばし前屈して床に手が届かないような方は明らかにハムストリングスや大腿二頭筋の柔軟性不足です。
ご紹介する大腿二頭筋ストレッチで柔軟性を取り戻しましょう。
大腿二頭筋というからには、頭が二つあるんですね、筋肉の付着部(起始と停止)、起始を2つもつ筋肉です。
大腿二頭筋は太ももの後面の筋肉ですが、太ももの前面には大腿四頭筋があり、こちらは4つの筋肉の総称です。
前と後ろの太ももの筋肉、大腿四頭筋と大腿二頭筋を含むハムストリングスは、膝を曲げる・膝を伸ばす筋肉でジャンプ能力に関わり、下肢の力強い動きをするためには重要な筋肉です。
大腿二頭筋を含むハムストリングスとその反対の動きをする大腿四頭筋の重要さ、大腿二頭筋の機能解剖などもご紹介しますが、解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばして大腿二頭筋ストレッチのやり方をご参考ください。
ストレッチ基礎知識
下肢の骨格
大腿二頭筋は太もも後面の筋肉です。
太ももの骨格を後ろから見るとこんな感じ。
解剖学では足を下肢、太ももを大腿、膝から下を下腿と呼びます。
太ももの骨は大腿骨、その下にすねの骨である脛骨とその外側に腓骨があります。
ハムストリングスとは?
太ももの後面の3つの筋肉を総称してハムストリングスと呼びます。
3つの筋肉とは、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋です。
3つとも股関節の伸展、膝関節の屈曲に関与する、ジャンプの前に膝を曲げてジャンプする力を溜めこむような働きを持ちます。
ハムストリングスが弱いと、膝を曲げて重心を落とすような動きが安定しません。
膝が曲がった状態から膝を伸ばしジャンプするのはハムストリングスの反対側にある大腿四頭筋の働きで、ジャンプ筋とも呼ばれます。
ジャンプ能力や下半身の安定には、大腿四頭筋とハムストリングスの力強さ、バランスが欠かせませんので、スポーツや運動がお好きな方は両方の筋肉をストレッチして柔軟性を養いましょう。
一般的に大腿四頭筋はハムストリングスより25~32%ほど強いのが理想とされています。
大腿二頭筋
大腿二頭筋は太ももの後ろの筋肉で起始を2つもつ筋肉です。
大腿二頭筋の起始と停止
大腿二頭筋の起始:
坐骨結節、大腿骨粗線の下1/2に位置する外側顆稜線
大腿二頭筋の停止
脛骨外側顆と腓骨頭
大腿二頭筋の神経支配
長頭:坐骨結節の脛側部(S1・2・3)
短頭:坐骨結節の腓側部(L5、S1・2)
大腿二頭筋の触診
大腿二頭筋は膝に近い大腿後方の外側面で触診できます、膝後ろの筋張っている部分なので分かりやすい筋肉です。
大腿二頭筋の働き
大腿二頭筋は膝の屈曲と外旋、股関節の伸展と外旋をする働きがあります。
大腿二頭筋の膝関節の屈曲と外旋
大腿二頭筋は半腱様筋、半膜様筋とともに膝を屈曲させます。
またふくらはぎの筋肉の腓腹筋も膝を屈曲する筋肉で、ハムストリングスや腓腹筋はランニング筋とも呼ばれます。
膝を屈曲する筋肉
大腿二頭筋の股関節の伸展と外旋
膝が伸びている状態で股関節を伸展させるのは、ハムストリングスとともに大殿筋の働きです。
足が床につかない状態で膝を曲げるときは大殿筋の影響を受けずハムストリングスだけの働きになります。
筋肉はその働きの反対の動きでストレッチできますので、大腿二頭筋ストレッチは股関節の屈曲と膝の伸展で行うことができます。
より丁寧にやるならば少しの股関節の内旋、膝関節の内旋を加えればいいでしょう。
大腿二頭筋ストレッチ
大腿二頭筋ストレッチはハムストリングスストレッチと同じ形になりますが、大腿二頭筋ストレッチは2つの形があります。
立って行える両足の大腿二頭筋ストレッチと片足ずつ行う大腿二頭筋ストレッチがありますので、ストレッチのコツと2つの大腿二頭筋ストレッチをご紹介します。
ストレッチのコツ
ストレッチのコツ、それは呼吸にあります。
特にハムストリングスのような太いスジはうんうんと頑張ってストレッチしても準備運動くらいの効果しかありませんので、深い呼吸をともなったストレッチを心がけてください。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
深い呼吸が苦手な人は、ストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜くと、ストレッチしているスジが息を吸うたびに更にストレッチされます。
更に詳しくはストレッチ効果を高める腹式呼吸をご参考ください。
立って行う大腿二頭筋ストレッチ
では先に両足の半膜様筋ストレッチのご紹介です。
立ってできるストレッチですので、場所を選ばずにできますね。
ご紹介するストレッチの形をとり10回ほど完全呼吸をしてください。
やっていただくと太ももの後ろ、大腿二頭筋を含むハムストリングスが伸びてるなぁ、という気持ちいい実感があると思います。
このストレッチのコツは、お腹を丸めずにお腹を太ももに近づけていくようにするとより大腿二頭筋ストレッチになります。
ついでに腕をしっかり伸ばして肩を後ろに引けば同時に肩関節のストレッチにもなります。
部分的なストレッチと言えど、全身はつながっているのでその全体性を上手く使ったストレッチです。
片足ずつ行う大腿二頭筋ストレッチ
更に丁寧に大腿二頭筋ストレッチをしたい方は、片足ずつ行う方法があります。スポーツがお好きな方は片足ずつ丁寧に行いましょう。
上記のストレッチは力の入れ加減でストレッチできる部位が変えられます。
踵を押し出すようにするとよりアキレス腱のストレッチになり、背骨を伸ばしてから前屈していくとより半腱様筋や半膜様筋などがストレッチできます。膝裏を伸ばすように行うと膝裏の膝窩筋のストレッチ、大腿二頭筋のストレッチになります。
上半身を倒す角度や力の入れ方でストレッチできる部位が変わりますので、いろいろと試してみてください。
まとめ
私は施術前に経絡ストレッチとして補助付きのストレッチを行っていますが、大腿二頭筋ストレッチの補助は肺・大腸経、腎・膀胱経のストレッチです。
施術家さんには立って行う大腿二頭筋ストレッチの補助、床で行う大腿二頭筋ストレッチの補助がお役に立てると思います。
また施術では大腿二頭筋のような太いスジは膝で施術していくのも特徴です。