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恥骨筋ストレッチのやり方とコツの解説です。
恥骨を起始とする筋肉には、この恥骨筋とともに内転筋(短・長・大)、薄筋などがあり、ともに太ももの内側にあり股関節を内転させる筋肉です。
股関節を内転させる力は、力強い下半身の動きをするために欠かせない働きです、太ももの内側は日常ではほとんど伸ばさない場所ですので、ご紹介する恥骨筋ストレッチで柔軟性を回復させて力強い足腰を作りましょう。
恥骨筋ストレッチは他の内転筋などと同じ形になりますので、太ももの内側を全体的にストレッチする形になります。
股関節を内転する動きは日常ではあまり使わない動きですが、太ももを内側に絞るような動きは下半身を安定させ力強い腰の動きを引き出すためには欠かせません。
下半身が安定しているから、腰を切る動きができるんですね。
開脚のストレッチが辛いような方は明らかに恥骨筋を含む内転筋群の柔軟性不足です、ご紹介する恥骨筋ストレッチで柔軟性を回復させましょう。
ストレッチ基礎知識
骨盤の構造
恥骨筋は文字通り恥骨に付着する筋肉ですが、恥骨とは骨盤の一部です。
寛骨とは恥骨・腸骨・坐骨の総称です。
恥骨筋
恥骨筋は文字通り恥骨から大腿骨につながる筋肉です。
筋肉のストレッチは筋肉の付着部(起始と停止)やその働きを理解していれば行いやすいので、恥骨筋の機能解剖的なことも解説しますが解剖学的なことがめんどくさい方は飛ばして恥骨筋ストレッチのやり方をご参考ください。
恥骨筋の起始と停止
恥骨筋は恥骨から大腿骨へつながる筋肉です。
筋肉は体幹側の付着部を起始(きし)、遠位側の付着部を停止(ていし)と呼びます。
ストレッチはストレッチしている、伸ばしているスジを意識することが効果を高めます。上記の部分を意識して「伸びてるなぁ」「気持ちいいなぁ」と感じて恥骨筋ストレッチを行ってください。
恥骨筋の起始
恥骨稜のすぐ上の恥骨前面に約2,5cmにわたって付着
恥骨筋の停止
大腿骨小転子から粗線まで伸びる線状
恥骨筋の神経支配
大腿神経(L2,3,4)
恥骨筋の触診
恥骨と大腿骨の間で触れられますが長内転筋との区別が困難です。
恥骨筋の働き
恥骨筋はその起始と停止を見れば分かるように、主に股関節を内側に動かす(内転する)筋肉です。
恥骨筋の3つの機能:
- 股関節の内転
- 股関節の屈曲
- 股関節の内旋
恥骨筋の股関節の内転
太ももから下を内側に動かす動きを股関節の内転と言います。
股関節を内転させる筋肉
恥骨筋の股関節の屈曲
また恥骨筋は股関節を屈曲させますがそれほど大きな力ではなく、他の股関節の屈筋(大腿四頭筋)などと協調して働きます。
股関節を屈曲させる筋肉ストレッチ
恥骨筋の股関節の内旋
股関節を内側に回しこむ動きは股関節の内旋です。
恥骨筋の内旋の動きも大きな力ではありませんが、ハムストリングス(大腿直筋・半腱様筋・半膜様筋)や小殿筋も股関節を内旋させる筋肉です。
股関節を内旋させる筋肉
股関節の内転の動きは体軸や重心の安定のために重要
実は股関節を内転させる動きは重心と体軸を安定させ、力(気)を効率的に方向性を定めて発揮させるためには必須の動き。
下肢を内側に絞るような動き、太ももの内側を内転する方向にグッと力を込めた状態って身体の力(気)を使う上でとても重要な働きです。
内転筋ストレッチにてご紹介している内容ですが、
手も足も内転、内旋させる動き、これができるから重心や気の中心点である丹田、その延長上の体軸が安定するんですね。
内側向きの力がこめられるから体幹が安定して力が逃げないのです。重心や体軸が安定しているから、方向性をもった力を伝えることができるんですね。
意外と重要な恥骨筋の働きです。ご興味のある方は、恥骨筋ストレッチと合わせて気の原理や気を鍛える方法もご参考ください。
恥骨筋ストレッチ
恥骨筋はその働きの反対の動き(主に股関節の外転)でストレッチできます。
立って行える恥骨筋ストレッチと床で行う恥骨筋ストレッチ、2つのストレッチをご紹介します。
ストレッチのコツ
ストレッチはうんうんと頑張って行っても準備運動くらいの効果しかありませんが、呼吸を上手く使って行うと神経の緊張も静まり効率的に柔軟性を回復させることができます。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
深い呼吸が苦手な人は、ストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜くと、ストレッチしているスジが息を吸うたびに更にストレッチされます。
ご紹介する恥骨筋ストレッチの形をとり、この完全呼吸をすることを心がけてください。
更に詳しくはストレッチ効果を高める腹式呼吸をご参考ください。
ウォーミングアップに最適な恥骨筋ストレッチ
よく野球のプロ選手などが行う内転筋を含めた恥骨筋ストレッチがあります。
立って行えるので競技前などには最適ですね。
上記の恥骨筋ストレッチは膝に当てた手でストレッチする側の膝を押し出して、腰から上はストレッチする足と反対の方向にねじるのがコツです。
上記の姿勢で完全呼吸をすると、息を吸うたびに更に恥骨筋ストレッチが深まるのが感じられるハズです。
恥骨筋ストレッチ
床でリラックスして行える恥骨筋ストレッチもあります。
股関節の外転、外旋を行える恥骨筋ストレッチです。
これも上記の姿勢をとり完全呼吸をすると、息を吸うたびに更に恥骨筋がストレッチされるのを感じることができます。
背骨を上に伸ばすように息をするのがコツです。
まとめ
ストレッチは呼吸を上手く使うと効果的に筋肉の柔軟性を回復させることができます、呼吸をメインにしてご紹介したストレッチを深めていってください。
いつもならストレッチと一緒にその筋肉をほぐせるツボをご紹介するのですが、恥骨筋をほぐせるツボは自分では圧せないので割愛させていただきました。
恥骨筋や腸腰筋など身体の深部にありツボでコリを取れないようなスジは、ストレッチでケアするしかありません。ご紹介した恥骨筋ストレッチで柔らかい力強い恥骨筋を養ってください。
大腿(太もも)は恥骨筋のような内側のスジの他に、外側・前面・後面、4つの面があります。
太ももの4つの面のストレッチをまとめてありますので、この恥骨筋ストレッチの他に更に太もも全体のケアをしたい方は4つの太ももストレッチがお役に立てると思います。