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大腿筋膜張筋のストレッチのやり方とコツの解説です。
大腿筋膜張筋のような太ももの横のスジはコリやすく、また冷えに弱いスジでもあります。
しっかりストレッチして柔軟性を養いましょう。
寒くなってくると太ももの横のスジの違和感や痛みのご相談をいただくことが多くなってきます。
太ももの外側面は、大腿筋膜張筋のような太い腱が多く走行していてコリやすいところのうえ、冷えで更に緊張してしまうんですね。
痛みとまではいかないけど、スジの違和感、スジがきゅっとしてしまったような嫌な感じ、お年を召した方はそのような感覚を「切ない」感じとよく表現なされます。
太ももの側面は内側も外側もストレッチしにくいところで、日常でもあまり伸ばしたりするスジではないんですね。
ご紹介する大腿筋膜張筋のストレッチで気持ちよく柔軟性を回復しましょう。
ストレッチ基礎知識
下肢の骨格
大腿筋膜張筋は骨盤(腸骨)から脛骨に付着する筋肉です、下肢の骨格はというとこんな感じ。
解剖学では足は下肢、太ももは大腿、膝から下は下腿と呼びます。
太ももの骨は漫画の肉の骨のような美味しそうな大腿骨があり、その下にすねの骨である脛骨とその外側に腓骨があります。
骨盤は左右の寛骨と仙骨からなりますが、腸骨、坐骨、恥骨を総称して寛骨と呼びます。
大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)
大腿筋膜張筋は太ももの外側の筋肉です。
大腿筋膜張筋の起始と停止
大腿筋膜張筋の起始:
腸骨稜前面とその下の腸骨面
大腿筋膜張筋の停止:
脛骨前外側顆に付着する 腸脛靭帯の1/4
神経支配
上殿神経(L4、L5、S1)
大腿筋膜張筋の起始部の上前腸骨棘は自分でも触りやすい部位で触診や施術の目安になる場所です。
大腿筋膜張筋の触診
大腿筋膜張筋は大腿骨の大転子のやや前方で触診できます。
大腿筋膜張筋の働き
大腿筋膜張筋は股関節の屈曲と外転に関与しますが、大腿筋膜張筋単体での力は弱く、股関節が他の屈筋により曲がるときに股関節が外旋するのを防いでいます。
歩行やランニングで足がまっすぐに出せるように導く筋肉とも言えます。
大腿筋膜張筋だけでは弱い力しか出せませんが、他の股関節を強く動かす筋肉の働き、股関節の動きを安定させる筋肉です。
股関節を屈曲させる筋肉
股関節を外転させる筋肉
筋肉はその働きと反対の動きでストレッチできるので、大腿筋膜張筋の働き(股関節の屈曲と外転)の逆、股関節の伸展と内転で大腿筋膜張筋のストレッチができます。
コリやすく冷えに弱い太ももの外側面のスジ
太ももの内側は大腿動脈、静脈ともに走行していて血液の流れが豊かで温かい部位です。
反対に太ももの外側やお尻の横は、太い血管はなく、筋肉や腱が多く重なっていて冷えやすい部位とも言えます。
冷たい寝床で横向きで寝ていると、大腿筋膜張筋のような太ももの横のスジが冷えて緊張して固くスジ張ってきやすいのです。
太ももの横のスジがスジばって痛い、コっているような方はご紹介する大腿筋膜張筋のストレッチで柔軟性を回復させましょう。
また半身浴などで下半身の血行を良くしていくことも大事です。
大腿筋膜張筋のストレッチ
大腿筋膜張筋だけをストレッチするのは難しいのですが、太ももの外側面のスジを全体的にストレッチできる形が2つあります。
2つともある程度、股関節が柔らかくないとできないので股関節が固いような方は先に股関節ストレッチで動きを良くしてから行ってください。
ストレッチのコツ
実はストレッチにはコツがあります。
特に大腿筋膜張筋のような太ももの外側面のスジはストレッチが難しいところですが、呼吸を上手く使うことでより深くストレッチすることができます。
ヨガのように呼吸を深く行い(完全呼吸)ストレッチを行うと息を吸うたびに更に身体がストレッチされ、息を吐くたびに身体が緩まるのを感じ取ることができます。
大腿筋膜張筋のストレッチの前に、ストレッチ効果を高める呼吸法をご紹介しますが、後述するストレッチも決して無理はせずに呼吸を深めることをメインに行ってみてください。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介するストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜いてください。
特に固く筋張っている太もものスジ、大腿筋膜張筋やハムストリングスは、丁寧に呼吸を上手く使わないとなかなか柔軟性は回復しません。完全呼吸を行うことを優先してご紹介するストレッチを行ってください。
更に詳しくはストレッチ効果を高める腹式呼吸をご参考ください。
簡単な大腿筋膜張筋のストレッチ
上記の姿勢は大腿筋膜張筋のような太ももの外側面のスジが大変気持ちよくストレッチできる形です。
しかし、股関節が固いような方は行いにくいので、両手を床にしっかりついて身体を支えて徐々にストレッチしていってください。
上記の姿勢をとり10回ほど完全呼吸をします。
股関節が柔らかい人のための大腿筋膜張筋のストレッチ
もっと深く大腿筋膜張筋のような太ももの外側をストレッチできる形があります。
胡坐をかけるぐらいに股関節と足首が柔らかくないとできないので、胡坐がかけないようなかたはこのストレッチは無かったことにしましょう。
外側の太もものスジがコっていたり違和感があるんだけど、身体が固くて上記のストレッチができない方にはツボ圧しでスジを緩めることもできます。
大腿筋膜張筋ストレッチと合わせて覚えたいツボ
スジのコリや緊張を取るにはツボが重宝します。
ツボはスジの付着部に多くあるのですが、大腿筋膜張筋の股関節部に自分でも圧しやすいツボがあります。
股関節のツボとしてもご紹介しているツボですが、大腿筋膜張筋のような太ももの外側面のスジの緊張をとるのに効果的です。
足の付け根、Vラインの際にとても効果的なツボがあります。ここのツボはとても狭い範囲にあり、とれるツボとしては一点です。スジとスジのつなぎ目ですので分かりやすいと思います。
ツボの探し方
写真のように仰向けに寝て、膝を曲げたときのVラインの際です。膝を曲げてから探して圧すと分かりやすいツボです。
ツボの圧し方
これも横から圧すようにしますが、浅いツボなので少し圧すだけで、気持ちよかったり響きがあると思います。下腿の方に響くことが多くあります。股関節が痛いときはとても効くツボですので、ぜひ見つけて圧してみてください。ツボが見つかったら5,6秒持続圧をします、5,6回繰り返して圧してみてください。
まとめ
足は曲げる、伸ばすといったストレッチは行いやすいのですが、太ももの外側の大腿筋膜張筋や太ももの内側のスジはストレッチしにくい部位です。
上記のストレッチのように股関節がある程度柔らかくないとできないんですね。
太もものストレッチは、前面後面、内側と外側、4つの面のストレッチを太ももストレッチにてまとめて解説していますので、更に丁寧に太ももをケアしたい方はご参考ください。