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今回は大腿四頭筋のストレッチとコツを解説します。
大腿四頭筋は膝を伸展させる筋肉で、ほとんどのスポーツや運動で必要とされるジャンプ能力と密接な関係があります。
ジャンプ能力に優れた人はこの大腿四頭筋が発達しているとも言えますね。
大腿四頭筋は字のように、4つの頭(起始)を持つ筋肉で4つの筋肉の総称です。
大腿四頭筋と言えば思い出す、昔マッサージで働いていた頃に常連さんとして来てくれた現役の競輪選手。
大腿四頭筋が発達しすぎて歩きにくいどころか、太ももの内側がすれて痛がっていましたし、歩き方も自然とガニ股。
服によってはこすれてシャカシャカいって歩いていましたね。プロスポーツとは大変なものです。
私も長年、スノーボードをやっていたので大腿四頭筋がくっきりしています。私の体の中で一番発達している筋肉のハズ、そう思うと大腿四頭筋に愛着が出てくる(笑)。
そんな個人的に愛する大腿四頭筋ですが、4つの筋肉ごとに機能解剖学的なことと大腿四頭筋のストレッチをご紹介します。
解剖学的なことがめんどくさい方は、飛ばして大腿四頭筋のストレッチのやり方をご参考ください。
太ももカテゴリー
- 大腿四頭筋のストレッチ(この記事です)
- 大腿四頭筋のツボ
- 太もも(大腿四頭筋)の筋肉痛のセルフケア
ストレッチ基礎知識
下肢の骨格
解剖学では足は下肢、太ももは大腿、膝から下は下腿です。
下肢の骨格は漫画の肉の骨のような大腿骨があり、その下に脛骨と腓骨があります。
大腿四頭筋の3つの広筋は大腿骨から膝蓋骨、脛骨に付着する筋肉で、大腿直筋だけ骨盤の腸骨を起始としています。
人体で最も大きい筋肉、大腿四頭筋
大腿四頭筋ですが人体で最も大きい筋肉と言われています。
しかし、それは4つの筋肉を合わせて人体で最大ということで、一つの筋肉なら大臀筋が最も大きいような気がします。
参照リンク:大腿四頭筋(外部リンク)
大腿四頭筋の働き
大腿四頭筋は膝関節を伸展、股関節を屈曲させる筋肉です。
大腿四頭筋の膝の伸展
膝関節の伸展とは、膝を曲げた状態から伸ばす動きです。
膝の伸展の反対、膝関節を曲げる動きは屈曲と言い、大腿四頭筋と反対の働きをするハムストリングスの働きです。
大腿四頭筋の股関節の屈曲
後述する大腿四頭筋の中の大腿直筋が腸骨に起始を持っているため、大腿四頭筋は股関節の屈曲にも関与します。
股関節を屈曲させる筋肉
大腿四頭筋を鍛えるとダイエットにいい?
大きい筋肉は活動にエネルギーを多く使うので、大きい筋肉を鍛えたり運動させることは代謝を上げるのにいいと言われています。
大腿四頭筋を鍛えるとダイエットにいいというのは、他の小さい筋肉よりカロリーを使う大きい筋肉だから、大腿四頭筋のエクササイズでダイエット効果があるというのはあながち嘘ではありませんね。
筋肉痛になりやすい大腿四頭筋
筋肉痛と言えば大腿四頭筋みたいなところがありますね。
無理な運動や足腰に負担の掛かる運動で、太ももの前面の大腿四頭筋が筋肉痛になることはよく起こりうるコトです。
大腿四頭筋の筋肉痛にはツボやストレッチ、下半身を温めることが回復を早めます。
筋肉痛時のセルフケアについては大腿四頭筋の筋肉痛の対処法にてまとめて解説しています。
身体の軸や重心の安定にも関わる大腿四頭筋
大腿四頭筋は膝を伸ばして歩く、ジャンプする筋肉ですが、重心や体軸の安定とも深く関係があります。
踏み込んでいるから、最大の力でジャンプできるし、両足で踏み込んでいるから体軸や重心が安定するんですね。
体軸や重心が安定しているから、力を逃がさずにジャンプができる、次の動作ができる、とも言えます。
力強い下半身の動きにはこの大腿四頭筋とハムストリングスの強さが必要です。
大腿四頭筋の機能解剖
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、4つの筋肉の総称です。
4つの筋肉とは、大腿直筋(だいたいちょっきん)、外側広筋(がいそくこうきん)、中間広筋(ちゅうかんこうきん)、内側広筋(ないそくこうきん)です。
筋肉には主な働きが一つか二つあり、初め(起始)と終わり(停止)があります。
大腿四頭筋の4つの筋肉は起始は全て違う部分なのですが、全て膝蓋骨に付着し、脛骨に停止します。
筋肉の働きや起始・停止を理解していれば、その筋肉の働きの反対の動きを行うとその筋肉をストレッチすることができます。
大腿四頭筋は膝伸展させる筋肉なので、後述するように膝の屈曲でストレッチすることができます。
大腿直筋
大腿四頭筋の一番上にある大腿直筋は他の3つの筋肉つ違い、骨盤の腸骨が付着部です。
膝の屈曲のみならず、股関節の屈曲にも作用する筋肉なので骨盤帯と股関節の筋肉にて大腿直筋のストレッチを解説しています。
大腿直筋の起始:
腸骨の下前腸骨棘と寛骨臼の広報上部の溝
大腿直筋の停止:
膝蓋骨の上縁と脛骨粗面
大腿四頭筋の触診:
大腿直筋は大腿四頭筋の一番上にあるため、太ももの前面で触診することができます。
外側広筋
大腿四頭筋の外側にある外側広筋を含む3つの広筋群は、大腿直筋とともに膝を伸展させる筋群です。
外側広筋の起始:
大腿骨転子間溝、大転子前下方縁、殿筋粗面、大腿骨粗線の上部、外側筋間中隔全域
外側広筋の停止:
膝蓋骨の上縁外側、脛骨粗面
外側広筋の触診:
外側広筋は大腿の前外側で触診できます。
中間広筋
中間広筋の起始:
大腿骨前面の上部2/3
中間広筋の停止:
膝蓋骨の上縁中央、脛骨粗面
中間広筋の触診:
中間広筋は大腿直筋の下にあるので触診はできません。
内側広筋
内側広筋の起始:
大腿骨粗線、内側顆の稜線
内側広筋の停止:
膝蓋骨の上縁内側、脛骨粗面
内側広筋の触診:
内側広筋は膝付近の大腿前方の内側面で触診できます。
大腿四頭筋のストレッチ
では、やっと大腿四頭筋のストレッチ実践編です。
大腿四頭筋は膝を伸展させる筋肉なので、膝を屈曲すればストレッチすることができます。
正座をすると太ももの前面が辛いような方は明らかに大腿四頭筋の柔軟性不足です、ご紹介するストレッチで柔軟性を養いましょう。
大腿四頭筋のストレッチのコツ、簡単な大腿四頭筋のストレッチと深く行う大腿四頭筋のストレッチ、2つのストレッチをご紹介します。
大腿四頭筋のストレッチのコツ
一般的なストレッチはその筋肉が伸びるような姿勢をとるだけですが、それだけでは準備運動くらいの効果しかありません。
より深く筋肉やスジをストレッチするコツは、腹式呼吸・完全呼吸です。
後述するふくらはぎストレッチの形をとり、完全呼吸を行うと息を吐くたびに身体が緩まり、息を吸うたびに更に大腿四頭筋がストレッチできるのを感じることができます。
ストレッチのコツ:腹式呼吸・完全呼吸のやり方
息は口から吐いて、鼻から吸うようにします。
腹式呼吸とは横隔膜を上げ下げするようにお腹を膨らましたりへこませたりする呼吸法です。
この腹式呼吸がねぇ、結構皆さんできないんですね。
男女問わず腹式呼吸が苦手な方が多い。
本来は男性より女性の方が呼吸が浅い体質なのですが、私が診るところ男性も同じくらいに呼吸が浅いんですね。
呼吸が深いとエネルギーも多く取り込めますし、精神も落ち着く。
深い呼吸が苦手な人は、大腿四頭筋のストレッチの前にお腹に手を当てて少し腹式呼吸だけして心身を落ち着かせてみてください。
この腹式呼吸に胸式呼吸を合わせたものが完全呼吸です。
- まず息をゆっくり完全に吐きます。
- ゆっくり腹式呼吸をしてお腹を膨らませます。
- 更に胸や肋骨を広げるように息を吸い続けます。
- 胸がめいいっぱい広がったら肩を上げるようにして息を吸い続けます。
- めいいっぱい吸ったら、口からゆっくりと限界まで息を吐いてください。
- この完全呼吸を10回ほど繰り返すだけでも、胸が広がり下腹部の内臓のマッサージにもなります。
- ストレッチもご紹介する大腿四頭筋のストレッチの形をとり、10回ほど完全呼吸をしてみてください。
コツは息を吸うときに背骨を伸ばすようにして、息を吐くときはできるだけ身体の力を抜いてください。
特にストレッチの形をとりながら背骨を伸ばすように息を吸うと、ストレッチしている部分が更に伸ばされるのを感じることができます。
更に詳しくはストレッチ効果を高める腹式呼吸をご参考ください。
簡単な大腿四頭筋のストレッチ
簡単に大腿四頭筋をストレッチするには上記のように立って足先を持ち膝を完全に屈曲させます。
でも、これはほとんどの方は簡単にできるし、もっと大腿四頭筋を伸ばしたいと思います。
そんな方には更に深い大腿四頭筋のストレッチがおススメです。
床で行う大腿四頭筋のストレッチ
深く大腿四頭筋をストレッチするには、床で行います。
決して無理をなさらず、気持ちよさを感じる少しきつい位のところで完全呼吸をを10回ほど行ってください。
このストレッチは大腿四頭筋のみならず、お腹や腹筋、内臓にもよいストレッチです。ゆったりと下腹部をできるだけ大きく膨らましたりへこましたりして完全呼吸を行ってください。
いける人は手を後ろについて、手の平を床につけます。この状態でマックスの人は、ここで気持ちよく完全呼吸をしてください。
ゆったり大きく腹式呼吸をしていると、息を吸うたびに大腿四頭筋がストレッチされ、息を吐くたびに大腿四頭筋が緩むのが感じられると思います。呼吸のたびに身体が柔らかくなっていきますので、徐々に手を後ろにずらして更に大腿四頭筋を伸ばしてください。
イケル人は肘をつき頭を後ろに垂らすと、更に大腿四頭筋がストレッチできます。
更にいける人は
柔らかい人は背中を床につけてから、両腕を頭の上にあげます。手の平を天井に向けるようにします。
この状態でゆったり大きく背骨を伸ばすように息を吸い完全呼吸をしてください。太もも、足首、お腹や腰の内部までストレッチできて、とても気持ちがいいですよ。
戻るときもゆっくりと戻ってきてください。
背骨が伸びるように完全呼吸で息をすると、体全体が更にストレッチされるのを感じることができます。
また、身体の中心が固いまま部分的なストレッチを行っても効果があまりない、ということもあります。
本格的に大腿四頭筋をストレッチするなら、まず身体の中心のストレッチを行い、そのあとに部分的なストレッチを行うのが効果的です。
身体の中心のストレッチはおススメのストレッチにて解説しています。
補助する大腿四頭筋ストレッチ
上記のストレッチは補助をつけて行うことができます。
恵比寿整体院で施術前に経絡のストレッチとして行っているものですが、補助があると自分で行うより更に深くストレッチを深めることができます。
このストレッチは胃経・脾経という消化器の気の流れ(経絡)をストレッチする形で、補助があると更に深く大腿四頭筋を含む身体の前面(胃経)がストレッチできます。
経絡ストレッチは6つの形がありますが、補助付きの経絡ストレッチは経絡ストレッチの補助のやり方にまとめてあります、ご興味のある方はご参考ください。
大腿四頭筋と反対の働きをするハムストリングス
筋肉には主に一つの働きがあり、その反対の働きをする筋肉は拮抗筋(きっこうきん)といいます。
膝を伸展する大腿四頭筋の拮抗筋は、太ももの裏のハムストリングスです。
ハムストリングスも大腿四頭筋と同様にいくつかの筋肉(大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋)、膝を屈曲させる筋肉の総称で、大腿四頭筋はハムストリングスより25~33%ほど強いのが理想とされています。
前屈して手が床につかない方は明らかにハムストリングスの柔軟性不足です、ハムストリングスストレッチで柔軟性を養ってください。
表をストレッチしたら裏もしっかりストレッチしないとね、何事も全体性が大事なのです。
まとめ
完全呼吸を行わないと身体の奥から緩めることができないので、無理をするより完全呼吸を行うことを優先してストレッチを行ってください。
大腿四頭筋とハムストリングスは力強い下半身の動きをするためにはとても重要な筋肉なので、この2つの筋肉のストレッチはぜひとも実践していただきたいものです。
太ももにはこの大腿四頭筋が走行する前面、ハムストリングスが走行する後面、あと太ももの内側と外側、4つの面があります。
太ももストレッチにて4つの面のストレッチをまとめてありますので、太もも全体を更にケアしたい方はご参考ください。